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世界一初恋にどっぷりハマッてる二次創作サイトです。
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2024.07.09 (Tue)
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ぬくぬく
2012.05.08 (Tue)
世界一初恋〔トリチア〕 小説
冬らしいトリチアにいちゃつき方。
[4回]
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耳が痛くなる程の寒い風が吉野の髪を揺らす。マフラーもつけ、準備万端で出かけたはずだったが突然の雪に勝てるわけもなく、何回目かもわからない「寒い」を連呼している。
「トリー、さーむーい」
「・・・・・・」
「トーリー、寒い!」
「俺だって寒い」
羽鳥は吉野と違って両手に荷物を持ち、しかも手袋を準備万端と言ったくせに忘れた吉野に貸して、素手で寒空の下歩いている。
「じゃあ俺が荷物持つよ」
「いい、そんなふらふらしているやつに持たせられるか。・・・ほら着いたぞ」
ようやく吉野のマンションに到着しエレベーターで上っていく。
「あー・・やっと着いたって寒っ!」
昼間から出かけていたからか、外とほとんど変わらないほど中も冷え切っていた。
「待ってろ、今暖房付ける。暖まるまでコートも着てろ」
「うー」
羽鳥は買ってきた食材を冷蔵庫に入れ始め、吉野は床で丸くなっている。
「・・・寒い」
暖房ってなんで付けてすぐ暖まらないんだろ。こんな時コタツがあったらなぁ・・・いや、コタツもそんなすぐに暖かくないか。
「こら、床に転がっているともっと寒くないか」
「・・・じゃあ起こして」
仰向けで寝っ転がった状態から腕を伸ばす。
「はぁぁ、はいはい」
羽鳥は腕を掴み吉野を引き寄せる。
「んー・・・ん?」
「どうした?」
吉野は突然抱きついた手を離し、コートのボタンに掴んだ。
「・・・・トリー、 脱げ」
「っお前!?何言って」
「いーから、あとここ座って!」
無理やりソファーに座らせ勝手にコートのボタンを取り始めた。そして羽鳥の膝の上に跨るような態勢になり、コートの中に入るように抱きつく。
「あー・・・暖かい、湯たんぽみたいだぁ」
湯たんぽって・・・
「そんなに暖かいか?」
「うん、ぬくい。あと・・・落ち着く」
まぁ、吉野から抱きつかれるのは嬉しくないわけではなく。
そっと引き寄せて肩に顔を埋める。
確かに・・・落ち着く。
--ただ。
「お前、絶対寝るなよ。せめてネーム直してからにしろ」
「・・・・・・・・・ぐーーってイタタタタ!」
バレバレの嘘寝をする吉野の頬をつねり、無理やり体を離した。
「終わったらいくらでも甘えていいから」
「はぁ!?誰も甘えてねーし」
そんな言葉は聞こえないふり。
今日のネーム直しは少しぐらい優しくしてやるか・・・少しだけな。
fin
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スケッチブック
2012.05.05 (Sat)
世界一初恋〔トリチア〕 小説
無意識は千秋のテッパンネタですから!
[11回]
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「千秋ー、動くなって」
「いや、動かなきゃ食えないだろ!」
さっきから柳瀬は食事をしている吉野をスケッチしていた。
昔からずっと俺をモデルにしていい加減飽きないのだろう?告白を断ってからも一応友達って関係が続いてて嬉しいけど、じっと見られているとやっぱ少し落ち着かない。
「最近ずっと千秋描いてなかったからさ、仕事がはかどらなくて」
「なんだよそれっ」
つい吹きだしそうになってしまうが・・・笑えない、いや、笑ったら殺される。
いや、ほんとね。わかりますよ・・・気持ちはわかりますけど、頼むからそんなに睨むなよトリ!!
先ほどからずっと皿を洗っている羽鳥は、吉野と柳瀬が話しているのを見てずっとイライラしていた。眉間にシワを深く刻んでいるが、まぁ柳瀬が気にするわけもなく。
「・・・ご、ごちそうさま」
吉野ばっかが心配していた。
とばっちり食らうのは俺なんだよ。
「っあ、食い終わった?じゃあ俺帰るわ」
「あれ、もう帰るの?」
今は仕事もあまりないはずなのに、優にしてはめずらしい。
「なんか中島先生が他の所で読み切り描くらしくてさ。それで手伝ってくれって。っあ、ちゃんと千秋のスケジュールは空けといたから」
「うん、ありがとな」
ほんと優に来てもらわないと俺の原稿上がらないからなぁ。
「それに、こんな横でイライラしたやつがいると落ち着かなくてね。じゃ」
「イライラしててわるかったな」
最後に爆弾を置いて柳瀬は帰っていった。
・・・・・・気まずい。
「・・・・・・えっとー、今日の卵焼き一段とおいしかったぞ!」
「・・・・・そうか」
・・・重いっ。重すぎる!
ていうかそんなに怒んなくてもいいじゃんか。
「・・・怒ってる?」
「・・・・・・別に、イラついているだけだ」
一般にそれを怒ってるというと思うんだが。
「絵描いてただけなんだからさ。そんな怒んなくても・・・」
「だから怒ってはない。ただ、あの中にお前の絵があると考えると・・・ムカつくだけだ」
返す言葉が見つからず、沈黙が流れる。
でも優は絵描いてる時楽しそうで邪魔できないし、・・・はぁー。
そういえば俺もよく昔スケッチブックに絵描いてたっけ。最近はもっぱららくがきか、マンガ描くぐらいだからなぁ。
「・・・俺のスケッチブックどこだっけ?」
「え?」
なんか無性に描きたくなってきた。
吉野は立ち上がり仕事場へ入っていく。確かどこかにしまったはずだが・・・。
「どこだっけなぁ」
「そこの押し入れじゃないのか?」
「ここ?」
奥の扉を開け、あさっていると山済みになったノートやスケッチブックが見つかった。
「あったあった!わぁ懐かしい」
「で、何でわざわざそんなもん取り出してるんだ?」
壁にもたれかかりながら聞いてくる。
「なんか、久しぶりに描きたくなったし、この時どんな絵描いてたか気になってさ」
「わざわざそれに描かなくてもいいじゃないか?」
不思議そうに聞いてきた。
「スケッチブックっていうのは、いつの間にか自分の好きなもので溢れていくもんなんだって。後で見返すと、まるでアルバムみたいなんだよ」
俺もよく近所のネコとか、好きなマンガの絵描いてたっけ。
「・・・じゃあ柳瀬は大好きなお前で溢れてるってわけか・・・やはりムカつく」
「へ?・・・そういう意味で言ったわけじゃねーよ!!」
ほんと優の事となるとしつけーんだから。
そんな羽鳥を無視して、リビングのソファに座る。
「えーっと、高校の時のか・・・。この頃何描いてたっけ?」
ページをめくっていく。
一枚、また一枚。
突然吉野は数秒間固まり、顔を真っ赤にしながらいきよいよく閉めた。
「・・どうしたんだ?昔のテストでも挟まってたか」
「え!?いや、あっうん。そうなんだよ。はは、びびったぁー」
わかりやすく動揺した吉野は、すばやくスケッチブックを後ろに隠した。
「・・・なぜ隠す」
「べっ別に」
「見せてみろ」
羽鳥は無理やり吉野の手から奪い取り、高くあげる。
返せ!、と飛んでくるが、身長的に吉野はまったく届くわけ無く、顔を真っ赤にしながらで睨んできた。
・・・そんなに見られたくないのか?まさか柳瀬の絵がいっぱいあるとか。
自分で考えたことにへこみそうになりながらも、ゆっくりページをめくると。
「・・・・・・・・・俺?」
そこには制服姿の羽鳥が何ページにもわたって描かれていた。
耳まで真っ赤にして吉野は俯いてしまう。
でもさっきの言葉が蘇る。
『スケッチブックっていうのは、いつの間にか自分の好きなもので溢れていくもんなんだって』
「吉野、これって・・・」
「うるせー!きっと目の前にいつもいたから描いただけで、別に好きとかそんなんじゃ・・・」
今、吉野が俺に好意を抱いてくれているのはわかるが、・・・もしかしたら昔も、ほんと無意識に俺のことを好きだと思ってくれていたのなら。やばい、頬が緩んでしまう。
「うれしいよ」
「・・・・・・ん」
ほんの小さな思い出も、お前がいてくれるだけでこんなにも色鮮やかになっていく。
俺を描いていたときの吉野はどんな目をしていただろうか?そんな記憶のページもめくりながら、少しだけ思い出に浸ってしまった。
「これもらってもいいか?」
「別にいいけど・・・」
「それと、新しいスケッチブックでも買いに行くか?お前らくがきするのはいいが、紙ぐちゃぐちゃにするだろ」
「マジ!?行く!」
吉野は嬉しそうに顔を輝かせた。
あの頃と変わらない、俺の大好きな笑顔で。
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今だけ
2012.05.01 (Tue)
世界一初恋〔トリチア〕 小説
トリと一緒に掃除をしていたら制服を見つけて着ちゃう話。
「どうしてトリの気持ちに気付けなかったんだろう」って、ちょっとネガティブになって泣いちゃう千秋が好きです。
でもこのタイミングじゃなきゃ2人はきっと結ばれなかったんだとも思いますね。
[14回]
more....
「トリー少しは手伝えよ」
「断る。自分で散らかしたんだから自分で片付けろ」
ここは吉野の実家。めったに帰ろうとしないくせに、突然昔のマンガが読みたくなった、と帰る時がある。だが来るたびに部屋をぐちゃぐちゃにして帰るのにとうとうおばさんが怒り、自分達が旅行から帰るまで片づけないとマンガ本全部捨てるからね!と言われたらしい。まぁ、あの人ならやりかねない。
「別に片づけるのお前のこの部屋だけだろう。さっさとすればいいじゃないか」
「ついでに押し入れの中も整理しろとさ。・・・開けるのも怖いっていうのに」
・・・何が入ってるんだよ
「よし、やっと本棚に全部入った。次は・・・開かずの間に行きますか」
「開かずの間言うな」
吉野は取っ手を引くがまったくビクともしない。何か引っかかってるらしい。
「あれ~、っしょ!」
「ほら、貸してみろ。思いっきりいくぞ」
羽鳥が引くと扉は開いたはいいが、中からダンボールやなんやらかが大量に降ってきて。
「わぁぁ!トリ!大丈夫か!?」
軽く生き埋め状態になってしまった。
何とか物をどかし立ち上がるが・・・目が据わってる。
「・・・吉野」
「は、はい!」
「あとでお仕置き1つ決定な」
「えぇぇぇ!?ごめんってば!」
そんな吉野の言葉も無視して、ベッドに腰掛ける。
「ほら、さっさと続きをしろ。・・・少しぐらいなら手伝ってやるから」
「・・・はーい」
「あー、やっとだいたい整理できた。後は入れるだけだな。トリ、掃除機持ってきてもらってもいい?」
「あぁ」
そう言うと、羽鳥は立ち上がり階段を下りていった。
「取ってきたぞ・・・吉野?」
吉野は何かの箱を見たまま固まっていた。
「どうしたんだ?」
近づくとうれしそうにバッと顔を上げる。
「見ろよ!高校の時の制服だぜ!わぁ~懐かしいー」
吉野が取り出したのは高校の時に着ていたブレザーの制服。確かに懐かしい。何年ぶりに見ただろうか。
そんな事を考えていると制服をじーっと見ていた吉野が呟いた。
「・・・着てみよーかな」
「は?」
「だって今しまったら、もう一生着る機会無いし、まだ入りそうだしさ!そうだ、トリも自分の持って来いよ」
それじゃあ、自分で成長していないのを認めてることになるのでは?
「なんでこの歳になって制服を着なければならないんだ。お前だけ着ればいいだろう。それに俺は絶対入らなくなってる」
「じゃあ今のワイシャツ着てネクタイ付けるだけでもいいからさ?ね、このとおり!」
そんな狙ったかのように上目遣いするな・・・
「うっ・・・はぁー、わかった着ればいいんだろ。ちょっと待ってろ」
「やったぁ!」
羽鳥が制服を持って帰ってくると、吉野はもう着替えて待っていた。その姿で迎えられると、一瞬だけ本当に学生時代に戻った気がした。
「遅いぞ~」
「仕方ないだろう。こっちは家に親だっているんだ。何て言って制服を持ってくるか迷ったんだよ」
「はは・・・確かに。じゃあほら、着てみろよ!」
渋々着る羽鳥だったが、やはり制服は小さくなっていた。
まぁボタン閉めなければなんとか着れるか。
「ほら、これで満足か?」
「おぉ~、なんか高校の頃に戻ったって感じだな!あー、タイムスリップしてぇー」
「なんだそれは」
でも吉野が喜んでくれたならそれでいいか。
羽鳥はまたベッドに腰掛けると、吉野も横にちょこんっと座ってきた。
「なぁなぁ、トリは高校生に戻れるなら何したい?」
テンションの高い吉野が楽しそうに聞いてくる。
「いや、特に無いな」
本当は1つだけあるが・・・
「なんだよ、つまらんねーな」
「つまらなくて結構」
「俺はな~。そうだなぁ。もう1回購買のメロンパン食べたいし、放課後ずっと教室で話してたい、あと学校行事全部やりたい!」
「テストもか?」
「え・・・いや、テストは遠慮しときます」
嫌そうな顔をする吉野を笑うと、ぶーと頬を膨らませ、ベッドに寝っ転がってしまった。
「テストと勉強が無ければマジ戻りてー」
今はマンガを通してでしか、青春とか学校生活とかを感じることができない。大変なこともあったけど、その時でしか味わえないこともたくさんあった。
学校か・・・。あの時も変わらずマンガが好きで、そんなに今と変わったことなんてー・・・
「あった」
「え?」
そうだ・・・。あの時トリの隣にいたのも、俺の隣にいたのも違う人だった。
ずっとずっと気持ちに気づかないで、彼女とか紹介して、あの時・・トリがどんな顔をしていたか、やっぱり思い出せない。なんで気づけなかったんだろう。
なんで、なんでっ!
「俺って・・やっぱバカだ・・っぐす」
「吉野?泣いてるのか?」
「泣いてねーよ」
「嘘をつくな」
羽鳥はそっと涙を拭った。すると吉野は右袖で自分の顔を隠しながら、羽鳥の手を握る。
「・・・どうした、千秋?」
「俺っ、う・・やり残したことあった」
「何だ?」
握る吉野の手に力がこもる。
「もっと早くトリの気持ちに気づいてあげたかった・・・!俺、トリにずっとヒドい事してきた。普通に接してきて、その普通がトリにとって1番辛かったはずなのに・・・っぐす。何年間も無駄にしちゃって」
止まらない涙が吉野の頬を伝い落ちていく。
突然、羽鳥は顔を隠している吉野の右手をはぎ、両手をベッドに押し付ける。自身も吉野にまたがるような態勢になった。
「ちょっ、何すんだよ!人が真剣にっ」
「無駄じゃない」
「・・・え?」
「俺がお前と過ごした時間に無駄なんてない。・・・確かにずっと好きだって言いたかった。でもそれができなかったのは、幼なじみとしての時間が、あまりに大切だったからだ」
だんだんと吉野の手の力が抜けていく。
「あの時間も俺にとっては大切な思い出だ。そして今違う意味でお前の隣にいれて、どうしようもないぐらいに・・・幸せなんだよ」
ぼろぼろ溢れ出す涙を拭いそっと額にキスを落とす。
「・・・っ、でも」
それでも納得がいかないのか、またしゅんっとした顔のまま俯いてしまった。
「千秋・・・」
けれどもすぐに何かを思いついたのか、無理やり起き上がり羽鳥の袖をぎゅっと掴む。
なぜか顔は赤くなっているが、涙をふきじっと羽鳥を見上げる。
やはりその上目遣いはやめてほしい。
「じゃあさ。今だけ・・うん、10秒だけ、俺たち高校生な!」
「また、何を言い出すかと思えばっ」
「いいな!」
そこまで強く言われると、まぁ断る理由も無い。
確かに制服を着てるだけで少しはあの頃に戻った気もしている。
「あぁ、好きにしろ」
「じっ、じゃあ今から10秒間。よーい、スタート」
・・で、こいつは何をするつもりなんだ。どうせだったら10秒間じゃなくて今日1日ぐらっ
「っん!?」
気づいた時には吉野の唇が俺に押しつけられていて、まだ不器用なキスがゆっくりと離れていく。
「・・・千秋?」
「っすきだよ・・・、トリの事が好き・・です」
耳まで真っ赤になりながらそれでも確かに俺の耳に届いた。
「は、・・っはい!10秒終わり!じゃ、そういう事で」そそくさと立ち上がり逃げようとするが、俺が逃がすわけもなく。
「わわっ」
包み込むように抱きすくめる。
「っな、なんだよ」
「もうちょっと時間続けても・・・いいか?」
ねだるように呟いた。
「ちょ、ちょっとって?」
「お仕置きが終わるまで」
「はぁぁぁ!?ふざけっん・・・んー!!」
バタバタと暴れる吉野をキスで押さえつけ、息が苦しくなり顔を離す。
「っぱ!突然するなっていつも言ってるだろ!!」
「煽ったのはお前だろ」
「う・・・それは」
さっき自分がしたことを思い出したのか、また顔を真っ赤にしてしまう。
「それに、俺もあったよ。やり残したこと。」
「え、そうなの?なんだよー、無いって言ってたじゃんかー。結局何なんだ?」
吉野は不思議そうに顔を覗き込む。
「学生時代に千秋を襲うこと」
「っっっ!!!!おっおおお前何言ってんじゃ!!」
「安心しろ。掃除もあとでちゃんとやる」
それを心配してんじゃねぇよ!!
「っあそうだ!かっ鍵とかかけてないし・・・」
「それも安心しろ。さっき閉めといった」
「なんでそんな準備万端なんだ!!」
そんなツッコミもキスでうやむやされてしまい、だんだん意識が霞んでいく。
どうせ何を言ったって変わらないだろう。
「好きだよ、千秋」
「・・知ってるし、ばーか」
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言い訳〔高律〕
2012.04.22 (Sun)
世界一初恋〔高律〕 小説
ケンカしてもやっぱり高野さんには勝てない律ちゃん。
[27回]
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「もうわかりました!高野さんとは今日1日口聞きませんから!」
「あー、はいはい」
そう大口を叩いたはいいが、・・・小野寺律 25才すでに後悔しています。
そもそも、どうしてこんなことになったかというと、それは約2時間前に遡る。いつものように高野さんは俺にちょっかいを出すし、挙げ句の果てには、今日部屋に来ないともっと仕事増やす、とまで言い始める。本気でセクハラで訴えてやろうかとも思ったが、そもそも口で俺が高野さんに勝てるわけもなく・・・。
「今日1日口聞きませんから!」
ということだ。
「はぁー、我ながら子どもすぎる」
それでどうして後悔しているかというと、原因はこの書類。書いたはいいが高野さんにチェックをもらわなければならない。
せめて明日まで待つか、いや、でも今日出しといた方が後から楽だし・・・
・・・・・・・・・仕方ない。
決心して小野寺は高野の机に近づく。
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
ちらっと一瞬こちらを見たが、すぐパソコンに目を戻してしまった。
「・・・っ、・・あの・・・」
「・・・・・・」
こちらを見ようとしないが、先ほどから微妙に肩が震えてるのは気のせいだろうか?
「・・・・・っぶ!・・っくく」
マジ性格悪いぃぃぃぃぃぃ!!
「ちょっと何なんですか!いきなり笑い始めて!」
「あれ、口聞かなかったんじゃないのか?」
嫌みっぽく言うその言葉に小野寺はしまったという顔になった。
その様子を見てますます楽しそうに顔をのぞき込んでくる。
「いや、それは・・・」
「それは・・・何?」
小野寺は服の袖をぎゅっとつかみ、顔を赤くしながら小さな声で呟いた。
「・・嵯峨・・・先輩」
「・・・は?」
ますます顔を赤く染め、ぶっきらぼうに答えた。
「だから、今俺が話しかけたのは嵯峨先輩であって、高野さんじゃないっていうか・・・」
きっとコイツのことだから必死に言い訳を考えたんだろうけど。
ホントかわいいなぁ
ついまじまじと顔を見てしまうと必死に顔を逸らされる。
「なっなんですか?」
「・・・いや、それで用事はなんですか?織田律くん」
「ふぇっ!?え、あの、この書類のチェックを・・・。あと、その名前は勘弁してください」
風船がしぼんだかのように小さくなってしまった。
「いやいや、何を言ってんだ織田。お前が今日1日口聞きかないって言ったんだろ」
「だから織田はやめ・・」
「じゃあ、 律」
「っっ!!あ・・、だ、だから」
あたふたする小野寺を横目に、ふと思い出す。
初めてこいつが俺の名前を呼んだとき、今思うとその声がずっと心に残っていたと思う。
恥ずかしそうに、でも、こんなに愛おしいそうに呼んでもらったのは初めてだった。
「聞いてますか!?高野さん!?」
今、こうやってお前に名前を呼んでもらえるこの日常が、俺には宝物なんだよ。
「小野寺」
「っあ、はい!なんですか?」
苦しいぐらい、お前のことが大好きだ。
--だから
「これ、全没」
「・・・・・・・・・・・・・え、まじーー・・・ですか?」
「まじだ。今日俺の部屋直行決定な」
かわいい子ほどイジメたいものだ。
fin
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