冬らしいトリチアにいちゃつき方。
耳が痛くなる程の寒い風が吉野の髪を揺らす。マフラーもつけ、準備万端で出かけたはずだったが突然の雪に勝てるわけもなく、何回目かもわからない「寒い」を連呼している。
「トリー、さーむーい」
「・・・・・・」
「トーリー、寒い!」
「俺だって寒い」
羽鳥は吉野と違って両手に荷物を持ち、しかも手袋を準備万端と言ったくせに忘れた吉野に貸して、素手で寒空の下歩いている。
「じゃあ俺が荷物持つよ」
「いい、そんなふらふらしているやつに持たせられるか。・・・ほら着いたぞ」
ようやく吉野のマンションに到着しエレベーターで上っていく。
「あー・・やっと着いたって寒っ!」
昼間から出かけていたからか、外とほとんど変わらないほど中も冷え切っていた。
「待ってろ、今暖房付ける。暖まるまでコートも着てろ」
「うー」
羽鳥は買ってきた食材を冷蔵庫に入れ始め、吉野は床で丸くなっている。
「・・・寒い」
暖房ってなんで付けてすぐ暖まらないんだろ。こんな時コタツがあったらなぁ・・・いや、コタツもそんなすぐに暖かくないか。
「こら、床に転がっているともっと寒くないか」
「・・・じゃあ起こして」
仰向けで寝っ転がった状態から腕を伸ばす。
「はぁぁ、はいはい」
羽鳥は腕を掴み吉野を引き寄せる。
「んー・・・ん?」
「どうした?」
吉野は突然抱きついた手を離し、コートのボタンに掴んだ。
「・・・・トリー、 脱げ」
「っお前!?何言って」
「いーから、あとここ座って!」
無理やりソファーに座らせ勝手にコートのボタンを取り始めた。そして羽鳥の膝の上に跨るような態勢になり、コートの中に入るように抱きつく。
「あー・・・暖かい、湯たんぽみたいだぁ」
湯たんぽって・・・
「そんなに暖かいか?」
「うん、ぬくい。あと・・・落ち着く」
まぁ、吉野から抱きつかれるのは嬉しくないわけではなく。
そっと引き寄せて肩に顔を埋める。
確かに・・・落ち着く。
--ただ。
「お前、絶対寝るなよ。せめてネーム直してからにしろ」
「・・・・・・・・・ぐーーってイタタタタ!」
バレバレの嘘寝をする吉野の頬をつねり、無理やり体を離した。
「終わったらいくらでも甘えていいから」
「はぁ!?誰も甘えてねーし」
そんな言葉は聞こえないふり。
今日のネーム直しは少しぐらい優しくしてやるか・・・少しだけな。
fin
「トリー、さーむーい」
「・・・・・・」
「トーリー、寒い!」
「俺だって寒い」
羽鳥は吉野と違って両手に荷物を持ち、しかも手袋を準備万端と言ったくせに忘れた吉野に貸して、素手で寒空の下歩いている。
「じゃあ俺が荷物持つよ」
「いい、そんなふらふらしているやつに持たせられるか。・・・ほら着いたぞ」
ようやく吉野のマンションに到着しエレベーターで上っていく。
「あー・・やっと着いたって寒っ!」
昼間から出かけていたからか、外とほとんど変わらないほど中も冷え切っていた。
「待ってろ、今暖房付ける。暖まるまでコートも着てろ」
「うー」
羽鳥は買ってきた食材を冷蔵庫に入れ始め、吉野は床で丸くなっている。
「・・・寒い」
暖房ってなんで付けてすぐ暖まらないんだろ。こんな時コタツがあったらなぁ・・・いや、コタツもそんなすぐに暖かくないか。
「こら、床に転がっているともっと寒くないか」
「・・・じゃあ起こして」
仰向けで寝っ転がった状態から腕を伸ばす。
「はぁぁ、はいはい」
羽鳥は腕を掴み吉野を引き寄せる。
「んー・・・ん?」
「どうした?」
吉野は突然抱きついた手を離し、コートのボタンに掴んだ。
「・・・・トリー、 脱げ」
「っお前!?何言って」
「いーから、あとここ座って!」
無理やりソファーに座らせ勝手にコートのボタンを取り始めた。そして羽鳥の膝の上に跨るような態勢になり、コートの中に入るように抱きつく。
「あー・・・暖かい、湯たんぽみたいだぁ」
湯たんぽって・・・
「そんなに暖かいか?」
「うん、ぬくい。あと・・・落ち着く」
まぁ、吉野から抱きつかれるのは嬉しくないわけではなく。
そっと引き寄せて肩に顔を埋める。
確かに・・・落ち着く。
--ただ。
「お前、絶対寝るなよ。せめてネーム直してからにしろ」
「・・・・・・・・・ぐーーってイタタタタ!」
バレバレの嘘寝をする吉野の頬をつねり、無理やり体を離した。
「終わったらいくらでも甘えていいから」
「はぁ!?誰も甘えてねーし」
そんな言葉は聞こえないふり。
今日のネーム直しは少しぐらい優しくしてやるか・・・少しだけな。
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