忍者ブログ
世界一初恋にどっぷりハマッてる二次創作サイトです。
<< 05  2024/06  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30    07 >>
[11]  [10]  [9]  [8]  [7]  [6]  [5]  [4]  [3]  [2
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

学生の頃のトリチアで、千秋が不安になってしまう話。
学生ネタは大好きなんですけど、トリがかわいそうで・・・。
でもぐるぐる悩んでるのに千秋の無自覚な言葉に一喜一憂してるのがかわいいです。


~吉野千秋の場合~

最近トリが俺に対して冷たい気がする。
具体的に何が変わったってことは無いんだけど、前より笑ってくれなくなったとは思う。
生まれた時からずっと一緒にいて今まで過ごしてきた。そりゃあケンカもするけど、ちゃんと仲直りもする。くだらない会話をしたり相談にも乗ってもらったり、俺にとって大切な、本当に大切な幼なじみだ。
「なのになんでだよ~」
はぁー、とため息をつきながら誰もいない教室の机の上でに突っ伏していた。今羽鳥は日直の仕事で教務室に行っており、柳瀬は家の用事だとかで先に帰ってしまった。
「なんか怒らせるようなことしたかなぁぁ」
独り言が寂しく響いた。
確かにこの前トリの課題を勝手に写したり、お弁当のおかず横取りしたり、あとトリのお菓子食べたししたけど・・・・・・さ。

あれ、やっぱ俺が悪い?

っで、でもトリならそんなことじゃ怒んないし、今までだって平気だったし。
だけど、それはずっと我慢していたからとしたら・・・?
そりゃあ最近は俺より他の人との方が楽しそうに話してて、前より一緒にいる時間は減ったけどさ。

俺、もうトリの隣にいられないのかな?

突然、ガラッと扉が開いた。そこに立っていたのは少し息をきらしたトリの姿。
「吉野、待たせてすまなかったな。思ったより先生の話が長くて。帰るか・・・、っなんで泣いてるんだ?」
え?泣いてる?
頬を触ってみると確かに涙が伝い落ちていた。
泣くほどイヤなのかよ俺。
「吉野?」
「別に、なんでもねーよ。ほら帰るぞ」
制服の袖でゴシゴシと拭くと、なるべく羽鳥と目を合わせないように立ち上がった。なんか今見るとまた泣きそうだったから。
「待て。なんで泣いてたんだ。誰かに何か言われたのか?」
・・・お前のせいだっつーの。
「なんでもねーって!」
「嘘をつくな!・・・心配してるんだ」
嫌いなやつの心配なんてするなよ。俺のことなんて。
「・・・嫌いなくせに」
っあ、ヤバい。
「え?」
言葉も、涙も止まらない。
「俺のこと嫌いになったんだろ!」
トリの手を振りほどきながら大声で言ってしまった。でもトリが悪いんだ、はっきり言わないから。嫌いなら嫌いって、もう幼なじみはイヤだって言えばいいじゃないか!
「・・・嫌いって、え?誰が誰を」
珍しく困惑した顔の羽鳥が尋ねる。
「お前が俺をだよ!・・・お前最近なんか冷たいし、あんま笑ってくれないし。俺のこと嫌いになったんだろ」
羽鳥は心当たりがあるのか、どこか気まずそうな顔をする。
図星かよ・・・。
「だから、・・・だから。ぐすっ、きらいなら・・きらいってハッキリいえよ、ばかトリ」
いっつもそうやって人に気を使って。
軽く咽せそうになりながら止まらない涙が床に落ちていく。
だが、深いため息とともに出された羽鳥の言葉に吉野は目を見開いた。

「おい、なんで俺がお前を嫌いにならなきゃいけないんだ」

あれ、トリ怒ってる?
「いや、だから・・・、俺がトリに呆れられるようなことばっかやってるし」
「そんなのいつものことだろ」
まぁそうだけど。
「じゃあ何で最近俺に冷たいんだよ!」
「それは・・・、」
なんだよ、やっぱ言えないことなんだろ。
「それは、久しぶりにお前と同じクラスになれたのがうれしくて、なんかどう接して良いかわからなかったからだ」

はい?

「何・・・それ」
「今言った通りの事だ」
冗談・・・では無いんだよな。トリってあんま冗談言わないし、嘘もつかない。
「っぷ、何それ。あはははは、クラス違ったっていつも一緒にいたじゃんか」
「そうだが、クラス行事とかはさすがに無理だろ」
「そうだけどさ~、はは。ダメだ自分にもウケる」
何悩んでたんだろう。
ずっと一緒にいたのに全然わかってないのは俺の方だった。
居心地が悪そうな顔をしたトリの手を掴み、無意識に聞いてしまった。
「じゃあトリ。俺のこと好き?」
「っ!」
いや、別にそんな恥ずかしがることでもないだろう。男同士なんだし。でも珍しく顔を赤くしたトリを見てるのはすごく楽しい。
すると羽鳥は真剣な表情で答えた。
「・・・・・・、好きだよ。吉野のことが好きだ」
そう言ってぎゅっと俺の手を握った。
その顔に思わず見とれてしまう。
「っっ!!あ、うん・・・俺も、好きだよ」
あれ、なんか俺まで恥ずかしくなってきた。な、っなんだこの変な空気!
「ほ、ほら帰るぞ」
「あぁ」
ちらっと振り向いた時のトリの顔は、今まで見たことの無いぐらい優しく笑っていて、でもどこか悲しそうだった。
俺がその笑顔の意味を知ることになるのは、それはまたずっと後の話。



fin

拍手[11回]

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
secret (管理人しか読むことができません)

Copyright (c)neve All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  Material by Pearl Box  Template by tsukika


忍者ブログ [PR]