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世界一初恋にどっぷりハマッてる二次創作サイトです。
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木佐さんは「幽霊なんて信じない!」って言うけど、雪名の前だとつい気が抜けてしまってガタガタブルブルなイメージですね。




~木佐翔太の場合~

校了明けの休みほどうれしいものはない。しかもその休みが恋人と重なっているなんて、浮かれずにはいられないだろう。なのに・・・
「おい、雪名」
「なんですか木佐さん?」
そんな完璧な笑顔を向けられたって騙されてたまるか・・・でもかっこいい。
いやいやいや、そうじゃなくて、そうじゃなくて・・・
「なんでせっかくの休みにこんな心霊番組見なくちゃいけねーんだよ!!」
雪名が映したのは、夜中に録画したという『心霊映像百連発』
久しぶりの休みにテレビを一緒に見るのは構わないが、よりによってなぜこれなんだ。
「えー、だって木佐さんが外雨だから家にいようって言ったんじゃないですか。それにこの番組、最近学生でも人気あるんですよ」
「だからって、何か他にあるだろう!」
「まぁまぁ。それに」
そう言うと雪名は立ち上がり、木佐に抱きつくように後ろに座る。
「木佐さん怖がってくれないかなーって」
「っっ!!みっ耳元で呟くな!」
それだけで体温が上がってしまう。
「ほら始まりますよ」
いつもこうやって流されてしまうんだ。
・・・でも、こうやってのんびりくっついていられるだけでも、まぁいっか。

「わぁー、今のすごいリアルでしたね」
「あぁ」
番組自体はよくある試聴者が投稿した心霊映像。ウソっぽいのが多いけど、時々目を疑うものがいくつかあった。
「どうですか木佐さん?怖いですか?」
「別にー。てか、俺幽霊とか信じてねーし」
「えぇ!?」
なぜか雪名は心底驚いた顔をした。
そんなに驚く事だろうか。そもそも三十路のおっさんが幽霊怖いとか言ってたらそっちの方が驚きだろ。
「ダメですよ木佐さん!マンガ編集者なんですから、やっぱ幽霊とか妖精とか信じなくちゃ」
「お前の中での編集者のイメージってどうなってんだ・・・」
まぁ、こいつらしい言い分だけどさ。
「そっかぁ、信じてないのか・・・」
「?」
残念そうに、でもどこか楽しそうに小さく呟いた。
その時、突然窓がピカッと光る。
「うわっ、びびったー。雷かよ」
「・・・・・・」
すると、なぜか雪名はベランダの方をじっと見たまま黙ってしまった。
「・・・雪名?」
「き、木佐さん。・・・今光った瞬間、人影見えませんでした?」
「っは!?」
そんなわけがない。一階でもないし、そもそもベランダに誰かがいるなんて。
「んなわけねーだろ!」
「え、でも。女の人みたいな」
「テレビに影響されすぎだ」
木佐はむすっとした顔でテレビに視線を戻すが、明らかに気にしていた。
それを見た雪名は気づかれないよう小さく笑う。
「じゃあ木佐さん。見てきてみてくださいよ」
「なっなんでそうなるんだよ!」
「ね?」
あー、笑顔が眩しい。
ていうか人なんているわけないのに。
はぁー、とため息をつきながら仕方なく立ち上がった。
そうさ、見間違いに決まってる。今まで生きてきて心霊体験なんて一度もしたことのないこの俺が、なんで突然幽霊なんて見なくちゃいけないんだ。
それでも小さく深呼吸をして、カーテンを開ける。
だが、そこにはやはり誰もいなかった。激しく打ちつける雨と、たくさんの手の跡があっただけで、・・・ん?手?
「・・・・・・ぎゃぁぁぁぁぁぁぁーー!!ちょっ、ゆ、雪名!!手!手がいっぱ」
すぐさま雪名に抱きつきベランダに指をさして叫んだ。
「聞いてんのか!?ゆき・・・な?おい、何笑ってる・・・」
「ははっ、すいません。まさかここまで怖がってくれるとは思わなくて、やっぱ木佐さんかわいいなー」
本当にうれしそうに抱きついてきたが、雪名をはがし低い声で怒鳴りつける。
「ふっふざけんな!マジでびびっただろ!!」
「すいませんって」
ダメだ、そんな眩しすぎる顔で言われるとなんでも許してしまいそうな自分がいる。
確かにもう一度ベランダを見てみると、曇った窓ガラスに手の後を付けただけのようだった。よくまぁ、こんなめんどくさいことを。
「さっき木佐さんがトイレ言ってるときに思いついたんです」
「・・・はは、さすが美大生。手の跡が無駄にリアルすぎだろ」
「ありがとうございます」
「褒めてねぇ!!」
くそー・・・。
今さらながら、あんな怖がってしまったことを恥ずかしいと思ってしまう。
喜んでくれるのはもちろん嬉しいが、一応俺の方が年上だし、でも甘えたくないわけでも無いけど、なんか・・・
「あーもう!とりあえず窓拭くぞ」
「っあ、そうッスね。はいこれ、タオル」
幽霊とかダメじゃないはずなんだが、どうも雪名といると今までの自分じゃなくなってる気がする。でもそれだけ、雪名は俺にとって大きくて、大切な存在なのだろう。
「・・・やっぱ恥ずかしい」
「何か言いました?」
「な、なんでもねーよ。それにしてもこれなかなか消えねーぞ」
木佐が強く窓を拭くが、跡は消えないままだった。
「え、木佐さん。・・・こっちは全部消えましたよ」
雪名の前は綺麗に跡が無くなり、あとは木佐の前の1つだけ。
・・・・・・ってことは。

『車の窓びっしりに手の跡があったのに、なぜか1つだけ跡が内側だったんです~。怖いですよね~』

あまりにもタイミングよすぎるテレビの声とともに、部屋中に木佐の叫び声が響きわたった。





さて、雨にも消えず外側に残った手の正体。それは雪名だけが知っているのでした。
「やっぱ木佐さんかわいいなー♪」




fin

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