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世界一初恋にどっぷりハマッてる二次創作サイトです。
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トリと一緒に掃除をしていたら制服を見つけて着ちゃう話。
「どうしてトリの気持ちに気付けなかったんだろう」って、ちょっとネガティブになって泣いちゃう千秋が好きです。
でもこのタイミングじゃなきゃ2人はきっと結ばれなかったんだとも思いますね。

「トリー少しは手伝えよ」
「断る。自分で散らかしたんだから自分で片付けろ」

ここは吉野の実家。めったに帰ろうとしないくせに、突然昔のマンガが読みたくなった、と帰る時がある。だが来るたびに部屋をぐちゃぐちゃにして帰るのにとうとうおばさんが怒り、自分達が旅行から帰るまで片づけないとマンガ本全部捨てるからね!と言われたらしい。まぁ、あの人ならやりかねない。

「別に片づけるのお前のこの部屋だけだろう。さっさとすればいいじゃないか」
「ついでに押し入れの中も整理しろとさ。・・・開けるのも怖いっていうのに」

・・・何が入ってるんだよ

「よし、やっと本棚に全部入った。次は・・・開かずの間に行きますか」
「開かずの間言うな」
吉野は取っ手を引くがまったくビクともしない。何か引っかかってるらしい。
「あれ~、っしょ!」
「ほら、貸してみろ。思いっきりいくぞ」
羽鳥が引くと扉は開いたはいいが、中からダンボールやなんやらかが大量に降ってきて。
「わぁぁ!トリ!大丈夫か!?」
軽く生き埋め状態になってしまった。
何とか物をどかし立ち上がるが・・・目が据わってる。
「・・・吉野」
「は、はい!」
「あとでお仕置き1つ決定な」
「えぇぇぇ!?ごめんってば!」
そんな吉野の言葉も無視して、ベッドに腰掛ける。
「ほら、さっさと続きをしろ。・・・少しぐらいなら手伝ってやるから」
「・・・はーい」

「あー、やっとだいたい整理できた。後は入れるだけだな。トリ、掃除機持ってきてもらってもいい?」
「あぁ」
そう言うと、羽鳥は立ち上がり階段を下りていった。

「取ってきたぞ・・・吉野?」
吉野は何かの箱を見たまま固まっていた。
「どうしたんだ?」
近づくとうれしそうにバッと顔を上げる。
「見ろよ!高校の時の制服だぜ!わぁ~懐かしいー」
吉野が取り出したのは高校の時に着ていたブレザーの制服。確かに懐かしい。何年ぶりに見ただろうか。
そんな事を考えていると制服をじーっと見ていた吉野が呟いた。
「・・・着てみよーかな」
「は?」
「だって今しまったら、もう一生着る機会無いし、まだ入りそうだしさ!そうだ、トリも自分の持って来いよ」
それじゃあ、自分で成長していないのを認めてることになるのでは?
「なんでこの歳になって制服を着なければならないんだ。お前だけ着ればいいだろう。それに俺は絶対入らなくなってる」
「じゃあ今のワイシャツ着てネクタイ付けるだけでもいいからさ?ね、このとおり!」
そんな狙ったかのように上目遣いするな・・・
「うっ・・・はぁー、わかった着ればいいんだろ。ちょっと待ってろ」
「やったぁ!」

羽鳥が制服を持って帰ってくると、吉野はもう着替えて待っていた。その姿で迎えられると、一瞬だけ本当に学生時代に戻った気がした。
「遅いぞ~」
「仕方ないだろう。こっちは家に親だっているんだ。何て言って制服を持ってくるか迷ったんだよ」
「はは・・・確かに。じゃあほら、着てみろよ!」
渋々着る羽鳥だったが、やはり制服は小さくなっていた。
まぁボタン閉めなければなんとか着れるか。
「ほら、これで満足か?」
「おぉ~、なんか高校の頃に戻ったって感じだな!あー、タイムスリップしてぇー」
「なんだそれは」
でも吉野が喜んでくれたならそれでいいか。
羽鳥はまたベッドに腰掛けると、吉野も横にちょこんっと座ってきた。
「なぁなぁ、トリは高校生に戻れるなら何したい?」
テンションの高い吉野が楽しそうに聞いてくる。
「いや、特に無いな」
本当は1つだけあるが・・・
「なんだよ、つまらんねーな」
「つまらなくて結構」
「俺はな~。そうだなぁ。もう1回購買のメロンパン食べたいし、放課後ずっと教室で話してたい、あと学校行事全部やりたい!」
「テストもか?」
「え・・・いや、テストは遠慮しときます」
嫌そうな顔をする吉野を笑うと、ぶーと頬を膨らませ、ベッドに寝っ転がってしまった。
「テストと勉強が無ければマジ戻りてー」
今はマンガを通してでしか、青春とか学校生活とかを感じることができない。大変なこともあったけど、その時でしか味わえないこともたくさんあった。
学校か・・・。あの時も変わらずマンガが好きで、そんなに今と変わったことなんてー・・・
「あった」
「え?」
そうだ・・・。あの時トリの隣にいたのも、俺の隣にいたのも違う人だった。
ずっとずっと気持ちに気づかないで、彼女とか紹介して、あの時・・トリがどんな顔をしていたか、やっぱり思い出せない。なんで気づけなかったんだろう。
なんで、なんでっ!
「俺って・・やっぱバカだ・・っぐす」
「吉野?泣いてるのか?」
「泣いてねーよ」
「嘘をつくな」
羽鳥はそっと涙を拭った。すると吉野は右袖で自分の顔を隠しながら、羽鳥の手を握る。
「・・・どうした、千秋?」
「俺っ、う・・やり残したことあった」
「何だ?」
握る吉野の手に力がこもる。
「もっと早くトリの気持ちに気づいてあげたかった・・・!俺、トリにずっとヒドい事してきた。普通に接してきて、その普通がトリにとって1番辛かったはずなのに・・・っぐす。何年間も無駄にしちゃって」
止まらない涙が吉野の頬を伝い落ちていく。
突然、羽鳥は顔を隠している吉野の右手をはぎ、両手をベッドに押し付ける。自身も吉野にまたがるような態勢になった。
「ちょっ、何すんだよ!人が真剣にっ」
「無駄じゃない」
「・・・え?」
「俺がお前と過ごした時間に無駄なんてない。・・・確かにずっと好きだって言いたかった。でもそれができなかったのは、幼なじみとしての時間が、あまりに大切だったからだ」
だんだんと吉野の手の力が抜けていく。
「あの時間も俺にとっては大切な思い出だ。そして今違う意味でお前の隣にいれて、どうしようもないぐらいに・・・幸せなんだよ」
ぼろぼろ溢れ出す涙を拭いそっと額にキスを落とす。
「・・・っ、でも」
それでも納得がいかないのか、またしゅんっとした顔のまま俯いてしまった。
「千秋・・・」
けれどもすぐに何かを思いついたのか、無理やり起き上がり羽鳥の袖をぎゅっと掴む。
なぜか顔は赤くなっているが、涙をふきじっと羽鳥を見上げる。
やはりその上目遣いはやめてほしい。
「じゃあさ。今だけ・・うん、10秒だけ、俺たち高校生な!」
「また、何を言い出すかと思えばっ」
「いいな!」
そこまで強く言われると、まぁ断る理由も無い。
確かに制服を着てるだけで少しはあの頃に戻った気もしている。
「あぁ、好きにしろ」
「じっ、じゃあ今から10秒間。よーい、スタート」
・・で、こいつは何をするつもりなんだ。どうせだったら10秒間じゃなくて今日1日ぐらっ
「っん!?」
気づいた時には吉野の唇が俺に押しつけられていて、まだ不器用なキスがゆっくりと離れていく。
「・・・千秋?」
「っすきだよ・・・、トリの事が好き・・です」
耳まで真っ赤になりながらそれでも確かに俺の耳に届いた。
「は、・・っはい!10秒終わり!じゃ、そういう事で」そそくさと立ち上がり逃げようとするが、俺が逃がすわけもなく。
「わわっ」
包み込むように抱きすくめる。
「っな、なんだよ」
「もうちょっと時間続けても・・・いいか?」
ねだるように呟いた。
「ちょ、ちょっとって?」
「お仕置きが終わるまで」
「はぁぁぁ!?ふざけっん・・・んー!!」
バタバタと暴れる吉野をキスで押さえつけ、息が苦しくなり顔を離す。
「っぱ!突然するなっていつも言ってるだろ!!」
「煽ったのはお前だろ」
「う・・・それは」
さっき自分がしたことを思い出したのか、また顔を真っ赤にしてしまう。
「それに、俺もあったよ。やり残したこと。」
「え、そうなの?なんだよー、無いって言ってたじゃんかー。結局何なんだ?」
吉野は不思議そうに顔を覗き込む。
「学生時代に千秋を襲うこと」
「っっっ!!!!おっおおお前何言ってんじゃ!!」
「安心しろ。掃除もあとでちゃんとやる」
それを心配してんじゃねぇよ!!
「っあそうだ!かっ鍵とかかけてないし・・・」
「それも安心しろ。さっき閉めといった」
「なんでそんな準備万端なんだ!!」
そんなツッコミもキスでうやむやされてしまい、だんだん意識が霞んでいく。
どうせ何を言ったって変わらないだろう。

「好きだよ、千秋」
「・・知ってるし、ばーか」



fin

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