ケンカしてもやっぱり高野さんには勝てない律ちゃん。
「もうわかりました!高野さんとは今日1日口聞きませんから!」
「あー、はいはい」
そう大口を叩いたはいいが、・・・小野寺律 25才すでに後悔しています。
そもそも、どうしてこんなことになったかというと、それは約2時間前に遡る。いつものように高野さんは俺にちょっかいを出すし、挙げ句の果てには、今日部屋に来ないともっと仕事増やす、とまで言い始める。本気でセクハラで訴えてやろうかとも思ったが、そもそも口で俺が高野さんに勝てるわけもなく・・・。
「今日1日口聞きませんから!」
ということだ。
「はぁー、我ながら子どもすぎる」
それでどうして後悔しているかというと、原因はこの書類。書いたはいいが高野さんにチェックをもらわなければならない。
せめて明日まで待つか、いや、でも今日出しといた方が後から楽だし・・・
・・・・・・・・・仕方ない。
決心して小野寺は高野の机に近づく。
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
ちらっと一瞬こちらを見たが、すぐパソコンに目を戻してしまった。
「・・・っ、・・あの・・・」
「・・・・・・」
こちらを見ようとしないが、先ほどから微妙に肩が震えてるのは気のせいだろうか?
「・・・・・っぶ!・・っくく」
マジ性格悪いぃぃぃぃぃぃ!!
「ちょっと何なんですか!いきなり笑い始めて!」
「あれ、口聞かなかったんじゃないのか?」
嫌みっぽく言うその言葉に小野寺はしまったという顔になった。
その様子を見てますます楽しそうに顔をのぞき込んでくる。
「いや、それは・・・」
「それは・・・何?」
小野寺は服の袖をぎゅっとつかみ、顔を赤くしながら小さな声で呟いた。
「・・嵯峨・・・先輩」
「・・・は?」
ますます顔を赤く染め、ぶっきらぼうに答えた。
「だから、今俺が話しかけたのは嵯峨先輩であって、高野さんじゃないっていうか・・・」
きっとコイツのことだから必死に言い訳を考えたんだろうけど。
ホントかわいいなぁ
ついまじまじと顔を見てしまうと必死に顔を逸らされる。
「なっなんですか?」
「・・・いや、それで用事はなんですか?織田律くん」
「ふぇっ!?え、あの、この書類のチェックを・・・。あと、その名前は勘弁してください」
風船がしぼんだかのように小さくなってしまった。
「いやいや、何を言ってんだ織田。お前が今日1日口聞きかないって言ったんだろ」
「だから織田はやめ・・」
「じゃあ、 律」
「っっ!!あ・・、だ、だから」
あたふたする小野寺を横目に、ふと思い出す。
初めてこいつが俺の名前を呼んだとき、今思うとその声がずっと心に残っていたと思う。
恥ずかしそうに、でも、こんなに愛おしいそうに呼んでもらったのは初めてだった。
「聞いてますか!?高野さん!?」
今、こうやってお前に名前を呼んでもらえるこの日常が、俺には宝物なんだよ。
「小野寺」
「っあ、はい!なんですか?」
苦しいぐらい、お前のことが大好きだ。
--だから
「これ、全没」
「・・・・・・・・・・・・・え、まじーー・・・ですか?」
「まじだ。今日俺の部屋直行決定な」
かわいい子ほどイジメたいものだ。
fin
「あー、はいはい」
そう大口を叩いたはいいが、・・・小野寺律 25才すでに後悔しています。
そもそも、どうしてこんなことになったかというと、それは約2時間前に遡る。いつものように高野さんは俺にちょっかいを出すし、挙げ句の果てには、今日部屋に来ないともっと仕事増やす、とまで言い始める。本気でセクハラで訴えてやろうかとも思ったが、そもそも口で俺が高野さんに勝てるわけもなく・・・。
「今日1日口聞きませんから!」
ということだ。
「はぁー、我ながら子どもすぎる」
それでどうして後悔しているかというと、原因はこの書類。書いたはいいが高野さんにチェックをもらわなければならない。
せめて明日まで待つか、いや、でも今日出しといた方が後から楽だし・・・
・・・・・・・・・仕方ない。
決心して小野寺は高野の机に近づく。
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
ちらっと一瞬こちらを見たが、すぐパソコンに目を戻してしまった。
「・・・っ、・・あの・・・」
「・・・・・・」
こちらを見ようとしないが、先ほどから微妙に肩が震えてるのは気のせいだろうか?
「・・・・・っぶ!・・っくく」
マジ性格悪いぃぃぃぃぃぃ!!
「ちょっと何なんですか!いきなり笑い始めて!」
「あれ、口聞かなかったんじゃないのか?」
嫌みっぽく言うその言葉に小野寺はしまったという顔になった。
その様子を見てますます楽しそうに顔をのぞき込んでくる。
「いや、それは・・・」
「それは・・・何?」
小野寺は服の袖をぎゅっとつかみ、顔を赤くしながら小さな声で呟いた。
「・・嵯峨・・・先輩」
「・・・は?」
ますます顔を赤く染め、ぶっきらぼうに答えた。
「だから、今俺が話しかけたのは嵯峨先輩であって、高野さんじゃないっていうか・・・」
きっとコイツのことだから必死に言い訳を考えたんだろうけど。
ホントかわいいなぁ
ついまじまじと顔を見てしまうと必死に顔を逸らされる。
「なっなんですか?」
「・・・いや、それで用事はなんですか?織田律くん」
「ふぇっ!?え、あの、この書類のチェックを・・・。あと、その名前は勘弁してください」
風船がしぼんだかのように小さくなってしまった。
「いやいや、何を言ってんだ織田。お前が今日1日口聞きかないって言ったんだろ」
「だから織田はやめ・・」
「じゃあ、 律」
「っっ!!あ・・、だ、だから」
あたふたする小野寺を横目に、ふと思い出す。
初めてこいつが俺の名前を呼んだとき、今思うとその声がずっと心に残っていたと思う。
恥ずかしそうに、でも、こんなに愛おしいそうに呼んでもらったのは初めてだった。
「聞いてますか!?高野さん!?」
今、こうやってお前に名前を呼んでもらえるこの日常が、俺には宝物なんだよ。
「小野寺」
「っあ、はい!なんですか?」
苦しいぐらい、お前のことが大好きだ。
--だから
「これ、全没」
「・・・・・・・・・・・・・え、まじーー・・・ですか?」
「まじだ。今日俺の部屋直行決定な」
かわいい子ほどイジメたいものだ。
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