お待たせしました。
「なんでこうなった....」
隣で満足そうに寝息をたてている人間を睨みながら、 小野寺は不満げにため息をついた。
確か昨日一緒に帰ってきて、 夕御飯作ってくれるというから高野さんの家に来ちゃって。... ..そう、そのあとお酒を飲みはじめて。
それから。
それから.....。
思い出せない....!!
でもきっとまた流されたんだろうな。
いまだにちゃんと付き合っているのかよくわからない日々。 体の関係は続いちゃってるけど、 俺たちにはいつも言葉が足りていない。
いや、足りてないのは俺だけか。
ちゃんとしなきゃと思いはするが、向き合うのが怖い。 またあの時みたいに捨てられるのかもしれないって。 結局は勘違いだったが、 俺にとってはトラウマになってしまっている。
人はそう簡単には変われないんだ。
それにしても、苦しい。
抱き枕と勘違いしてるのではないかと思うぐらい、 高野さんの腕は俺を抱き締めていた。
思い返すと、高野さんはいつも俺を抱き締めて寝る。 しかも結構強い力で。
こっちの気持ちも考えてほしい。
顔だけ動かせる状態で上を向くと、 やはりぐっすり眠っているようだった。
起こすのも悪い気がするが、今さら寝れる気もしない。 恥ずかしいが意を決して声をかけた。
「....あの、高野さん」
「......」
「高野さん、起きてください」
「.....,.ん、あぁ?...なんだ?」
「だから起きてくださいって。いい加減苦しいんですけど...」
「....あぁ、悪い」
よかった、と一息つこうと思った矢先、 なぜか前以上に強い力で抱き締められた。
「え!ちょ、人の話聞いてたんですか!?」
「聞いてた。もっと抱き締めて欲しい、だろ?」
何一つ合ってねーよ!
「俺は起きてくださいって言ったんです!というか苦しいんです! 」
「朝からデカイ声出すなよ....」
出させてんのはどこのどいつだ。
ようやく高野は腕の力を抜いたが、 離してはくれずそのまま小野寺の頭を撫で始めた。
ひとまず息苦しいのからは解放されたため、 密かにその感触を楽しんだ。
そこでふと不思議に思う。
「.....あの、高野さん」
「なんだ?」
「前からちょと疑問だったんですが....なんで、その... 寝ている間すごい力で抱き締めてるんですか。 俺は抱き枕じゃありません」
最後の方恥ずかしくて声が小さくなってしまったが、 何とか伝えることができた。
「.....あー...」
「」
なぜか高野は気まずそうに視線をそらした。
「.....えっと、そんなに答えにくい質問でしたか?」
「そういうわけじゃねーよ。 自分でも寝ている時だしあんま分からないけど、...... 怖いんだろうな...」
「怖い?」
意味が読み取れず、そう言葉を返した。
すると高野は撫でるのをやめ、 頭の後ろに腕を回し抱き締めてきた。
「....まさかその年で寝るのが怖いとか「ちげーーよ」
「....そうじゃなくて、 朝起きた時お前がいなかったらって考えると無性に怖いんだ。 もしかしたらそのまま2度と会えないんじゃないかと思うと」
「っ....」
言葉が出なかった。
今まで高野さんに黙って部屋を抜け出したことは数回はある。 その時この人は何を思ったのだろうか.....。 自分勝手な俺の行動を責めもせず、いつも通り接してくれた。
あぁ....最低だ。
「まぁ、別に慣れたけどな。でもお前結構抱き心地いいんだぞ。 だから「慣れないでください!」
「....慣れたなんて、言わないでください」
きっと昔から高野さんはその言葉で自分を隠してきたんだ。
「小野寺?」
辛いことも、悲しいことも、寂しいことも慣れるわけがないのに。
「......眠いです」
「は?」
「高野さんのせいですごい早く目が覚めちゃったんです! だから寝ます」
「....はいはい」
「あと!」
「っ」
小野寺は高野の頭を抱き込みぶっきらぼうに言った。
「さっきまで俺を抱き枕にした仕返しです。 大人しく高野さんも寝てください」
「.......律」
「...な..なんですか....?」
「好き」
「.....うるさいですよ」
相変わらず素直にはなれないけど。
今日は高野さんより早く起きて、「おはようございます」 って言おう。
そうしたらきっと、高野さんも笑ってくれるはずだ。
fin
隣で満足そうに寝息をたてている人間を睨みながら、
確か昨日一緒に帰ってきて、
それから。
それから.....。
思い出せない....!!
でもきっとまた流されたんだろうな。
いまだにちゃんと付き合っているのかよくわからない日々。
いや、足りてないのは俺だけか。
ちゃんとしなきゃと思いはするが、向き合うのが怖い。
人はそう簡単には変われないんだ。
それにしても、苦しい。
抱き枕と勘違いしてるのではないかと思うぐらい、
思い返すと、高野さんはいつも俺を抱き締めて寝る。
こっちの気持ちも考えてほしい。
顔だけ動かせる状態で上を向くと、
起こすのも悪い気がするが、今さら寝れる気もしない。
「....あの、高野さん」
「......」
「高野さん、起きてください」
「.....,.ん、あぁ?...なんだ?」
「だから起きてくださいって。いい加減苦しいんですけど...」
「....あぁ、悪い」
よかった、と一息つこうと思った矢先、
「え!ちょ、人の話聞いてたんですか!?」
「聞いてた。もっと抱き締めて欲しい、だろ?」
何一つ合ってねーよ!
「俺は起きてくださいって言ったんです!というか苦しいんです!
「朝からデカイ声出すなよ....」
出させてんのはどこのどいつだ。
ようやく高野は腕の力を抜いたが、
ひとまず息苦しいのからは解放されたため、
そこでふと不思議に思う。
「.....あの、高野さん」
「なんだ?」
「前からちょと疑問だったんですが....なんで、その...
最後の方恥ずかしくて声が小さくなってしまったが、
「.....あー...」
「」
なぜか高野は気まずそうに視線をそらした。
「.....えっと、そんなに答えにくい質問でしたか?」
「そういうわけじゃねーよ。
「怖い?」
意味が読み取れず、そう言葉を返した。
すると高野は撫でるのをやめ、
「....まさかその年で寝るのが怖いとか「ちげーーよ」
「....そうじゃなくて、
「っ....」
言葉が出なかった。
今まで高野さんに黙って部屋を抜け出したことは数回はある。
あぁ....最低だ。
「まぁ、別に慣れたけどな。でもお前結構抱き心地いいんだぞ。
「....慣れたなんて、言わないでください」
きっと昔から高野さんはその言葉で自分を隠してきたんだ。
「小野寺?」
辛いことも、悲しいことも、寂しいことも慣れるわけがないのに。
「......眠いです」
「は?」
「高野さんのせいですごい早く目が覚めちゃったんです!
「....はいはい」
「あと!」
「っ」
小野寺は高野の頭を抱き込みぶっきらぼうに言った。
「さっきまで俺を抱き枕にした仕返しです。
「.......律」
「...な..なんですか....?」
「好き」
「.....うるさいですよ」
相変わらず素直にはなれないけど。
今日は高野さんより早く起きて、「おはようございます」
そうしたらきっと、高野さんも笑ってくれるはずだ。
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