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世界一初恋にどっぷりハマッてる二次創作サイトです。
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羽鳥と千秋がお散歩するお話。


天気も快晴。気温も適温!
外に出た吉野は晴れ渡った空を見上げ堪えきれない笑みをこぼした

「おい吉野、先に走るな」

後ろから追いかけてきた羽鳥に小言を言われたが、テンションの上がった吉野はあまり気にもせず羽鳥の腕を掴むと、早く早くと促した。
さりげなく繋がれた手を吉野は気にした様子もなく、お散歩.........もとい、資料集めが始まった。




****

今度『春』をテーマにした読み切り作品を集めた雑誌を発行することになり、本誌でも人気のある吉川千春が表紙を担当することになった。
評判が良ければまた違うテーマで発行することも視野にいれた大きな企画だ。
それだからか、吉野自身もいつもより積極的に資料集めを行っていた。
雑誌などいろいろ読んでいたらしいがイメージが全く湧かないらしく、突然昨日になって「どこでもいいから出掛けたい!」というメールがきて今に至る。

「んーー、ほんと晴れてよかったよな」
空を見上げながら気持ちよさげに呟く。
「明日出掛けたいと言い出した時は一発殴ろうかと思ったが、無理して予定を組んだかいがあったな」
「.........ご....ごめんなさい」
そっと顔をそらした吉野の頭を荒く撫で、怒ってないという意味も込めてぽんっと優しく叩いた。
「まぁせっかく1日時間を作ったんだ。まずはどこに行きたいんだ?」
「え、特に考えて無いよ」

ぴきっ....

羽鳥の額に怒りのマークが刻まれ、さぁっと吉野の顔が青ざめた。弁解をしようと言葉を探すが時すでに遅く、吉野の頬を引っ張りだしていた。
「痛い痛いいいいいい.....!!!ちがう!ちゃんとりゆうがありまふっ」
「ほう.....だったら話してもらおうか」
ぱっと手を離され、少し赤くなった頬を擦りながら吉野は答えた。
「痛かった.....。えっと話とかキャラクターは結構決めたんだけど、今回カラーもあるだろ?だから自然な日常の風景とか、春っぽいものを自分の目で探したかったんだよ.......」
「だったら別に俺がいなくてもよかったんじゃないか?」
「よくない!」
強く否定され羽鳥は目を見開いてしまった。
吉野自身も思ったより大きな声を出してしまったことに驚いたのか、気まずそうに下を向く。
「だから....その、ヒロインが好きな人と一緒に歩くシーンとかの背景も参考にしたくて、トリの目線ででも写真を撮りたいっていうか.........2人の方が視点も広がるし」
だんだんと顔を赤くさせていく吉野に、うっすら笑みを浮かべた羽鳥は鞄からデジカメを取り出した。
「つまりデートがしたかったって訳だろう」
カシャッ
「はぁ!?」
「だったら素直にそう言えばいいだろう」
「ちっ....ちげーよバカトリ!てか今写真撮っただろ!?」
すたすたと歩いていく羽鳥の背中に言葉を浴びせるがまったく効果はないらしい。
もともと言葉で勝てたためしは無いが、そもそも上っ面の反論しか思い付かない。
むーっと頬を膨らましながら数歩遅れて後を追った。



だって、デートをしたかったのは本当なのだから.....。




****

「トリ!つくし生えてる!ほら、あの花もめっちゃ綺麗!なんて名前だろうなー」
家を出てから30分。
まったく進まない.....。

「なーなー、トリー!」

昔からそうだ。
興味のあるものがあるとすぐ目移りしてしまって、落ち着きは無いし、子供みたいだし。
「トリってば、聞いてんのかよー」
「はいはい聞いてるよ」
ほんと自分でも同い年には見えないよな....。
「ほらあそこの桜の木。めっちゃでかくない?」
「あぁ....立派だな」
吉野が指を指したのは小さな公園に1本だけ立つ桜の木。太い枝から溢れんばかりの桜の花が咲いていた。
「やっぱ春と言えば桜だよなー。今度花見しような、トリの弁当付きで」
「お前が締め切りを守るならいくらでも連れていってやるよ」
「う.....がんばります」

そのまま散歩すること数十分。
川の近くまで来た2人は土手に上がり川沿いの道を歩き出していた
道に沿って並ぶ桜の並木道が青空いっぱいに広がり、つい足を止めてしまう。
「綺麗......」
数秒じっと空を見つめ続けていた吉野は、ポツリと話し出した。
「俺、桜って聞いても卒業式とか入学式とかってあんまイメージわからないんだよなー」
「そうか?」
「どちらかという、トリが作ってくれたお弁当、桜餅、お団子.......、あ!俺次みたらし団子食べたい!」
よだれを垂らしそうな勢いの吉野を見てため息がでてしまう。
相変わらず話が逸れているし。
「.......意味がわからん」
「えー、めっちゃわかりやすいじゃん」
ぶーぶーと口を尖らせなが吉野はまた歩き出した。
だが、すぐに足を止めてまた何かを思い付いた用な顔をこちらに向けていた。

「つまり、花よりトリ!ってことじゃない?」

「......」
「えー、なんだよその顔。お前が意味わからないっていうから考えたのにー」
イジけたのかまた前を向きふらふらと歩き始めた。

その顔?

「っ......」
あぁ無表情で悪かったな。

お前が俺に笑顔を向けてくれるだけで、顔が緩まないようにするのに精一杯なんだよ。




****

結局写真を撮りながらいつも通りくだらない話をして散歩しただけに終わった。
今はもう吉野の家のマンションの近くまで来ていた。
「いやー、久しぶりにこんな歩いたわ。やっぱ運動不足だよなー.....」
「普段からもう少し外へ出ろ。ちょっと外に出だだけでふらふらされるこっちの身にもなれ」
「....へーい。トリ、.....今日はありがとな。仕事忙しいのに時間作ってもらっちゃって」
マンションの前に着くと足を止め、吉野は小さく頭を下げた。
「.......お前がそんなこと言うなんて、明日は雪か?」
「なっ、なんだよそれ、人がせっかく素直に礼を言ってんのに....」
顔を赤く染め恥ずかしげに顔をそむけた吉野だったが、またこちらを向き直し羽鳥の目に前まで一歩近づいた。
「こ、今度は資料集めとか抜きで出掛けような!運動不足解消するために付き合え、っあお弁当付きな!..............っていうのはヒロインの台詞で「却下」
「なっ!」
ますます顔を染めた吉野の頭をそっと撫で、その額に口付けた。
「ちょっ、おま、外で何してんだよ」
「ヒロインの台詞としては却下だが、お前の誘いなら大歓迎だ」
それだけ言い吉野の手を取ると、マンションへの階段を登った。
小さく握り返してくれた感触に、頬が緩んでしまった。


「恥ずかしいやつ」




****

「そういえば写真見せてー」
「............後で見せる」
「はぁ?なんでだよいいから見せろよ........、ってなんじゃこりゃー!何俺ばっか撮ってんだよ!」
「......」
「おい話聞いてんのかアホトリ!おいってばー!」




fin

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