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世界一初恋にどっぷりハマッてる二次創作サイトです。
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麻那さまのリクエスト『千秋と律っちゃんが仲良しでプラス羽鳥と高野さん』

9時30分
「わぁー・・・広ぇ!」
「おい吉野、走るな」
「へいへい」
今日俺たちは近くにオープンした大型ショッピングモールに来ていた。ファッション系の店から雑貨、飲食店・・・。ここに来れば全てが揃うと言っていたあのCMにも納得がいく。
足を進め、近くにある案内板を見てもその広さに驚いてしまった。
これは見て回るのに1日かかりそうだ・・・。
「吉野、とりあえず1階からでいいか」
「うん。でも本屋は絶対行きたいからな。めっちゃデカいらしいし!」
「あぁ」
それより俺は、万年引きこもりで人混み嫌いなお前が保つのか心配だ。
「あ、そうそう。俺今日携帯忘れたから」
「忘れたことをエラそうに言うな。それに、前の花火大会で迷子になりかけたこと忘れたのか」
軽く吉野の頭にげんこつを落とす。
「いてっ。だから今回もちゃんと報告してんじゃねーか。べーーっ」
29にもなって、べーっが似合うやつがいるとは。
案内板を見るのに飽きたらしい吉野を横目に、羽鳥は今日の予定を頭にまとめていた。
時間に余裕はあるが、混む前に昼は早めに済ますか。あと、今時の若者の服が見たいとか言っていたからその後上に行って・・・、本屋はこの時でいいだろ。帰る前に夕飯の食材を買えばあとは・・・。
「なぁ吉野。お前・・・?吉野?」
返事がなく変だと思い振り返ると、さっきまでいたはずの吉野の姿が見えない。嫌な汗が出るのを感じながら、近くの店の中を探した。
だが見つからない。
「そうだ携帯・・・」

『俺今日携帯忘れたから』

先ほどの間抜け顔が頭に浮かんだ。
「・・・あのアホ」
仕方なく羽鳥は吉野の捜索にとりかかった。




「ふー・・・スッキリした。ごめんごめんト・・・リ?あれ??」
トイレに行っていた吉野が戻ると、先ほどまでいたはずの羽鳥がいなくなっていた。周りを見渡してもそれらしい姿が見えない。
「はあぁあ!?ったく、トリが迷子になんなよー」
いつも俺のこと子供っぽいって言うくせに。
「仕方ねーな。探すか」
とりあえずそこらへん歩けば会えるかな?
てか・・・ここどこだ?
吉野はだんだん不安になりながらも歩き始めた。

もしかして・・・・・俺が迷子だったりして?





****

9時20分
なんでこうなるんだ・・・。
小野寺は前を歩く長身の男を見ながら心の中で呟いた。本当なら今日は家の掃除の後、図書館で借りた本を読んで1日を過ごそうと思っていたのに。
「小野寺、ちゃんと歩かねーとはぐれるぞ」
「・・・わかってますよ」
朝1番に部屋に来た高野さんは突然「デートするぞ」と言い出し、無理矢理俺を連れ出したのだ。行かなきゃ仕事を増やすとか言ってくるし、いつか職権乱用で訴えてやる。
「で、今日は何の目的でここに来たんですか?」
「だからデートだって言っただろ」
「あああっアホですか!?」
「冗談だよ・・・・・・・・・・・・半分は」
半分って・・・。
「いいじゃねぇか。たまにはこうやってのんびり買い物とかよ」
「・・・・・・まぁ」
それだけ言うと高野さんはまたスタスタと歩き始めた。ちらっと見上げるとどこか嬉しそうに笑っていて、つい顔が赤くなってしまう。

プルルル・・・

「・・・」

プルルル・・・

「高野さん・・・でないんですか?」
携帯が鳴っても出ようとしない高野にしびれを切らし尋ねると、あからさまに不機嫌な顔。
「・・・っち、もしもし?先生、お疲れ様です」
やっぱり作家さんからの電話だったのだろう。
高野は壁の方に寄ると、ぽんっと小野寺の頭に手をのせた。それを少し待ってくれの合図と受け取り、自分も壁に寄りかかる。
とはいえ、何もせずに待ってるのも暇だな・・・。
自分も携帯を開くが、よく見ると電池がほとんど残っていなかった。これでは使えないと思い、今度は辺りを見回す。すると遠くに猫や犬のかわいい看板が飾ってあった。
「ペットショップ・・・か」
横目で高野さんを見るとまだ電話が長そうだ。
考えた末、高野の肩を軽く叩きペットショップの方を指さした。くちぱくで伝えると高野は頷いたので歩き始める。
自分は動物にはあまり懐かれないが、だからといって嫌いというわけではない。むしろ大好きだ。
鼻歌を歌いながら小野寺は人混みの中に入っていった。




「じゃあ先生、がんばってください。失礼します」
携帯をしまい、ふぅと一息ついた。
やっぱ電源切っとくか。
高野は仕事モードになってしまった頭を切り替え、今はこの休日を満喫しようと思った。
「それにしても小野寺のやつ、トイレ長いな。まさか迷子になったとか?ははっ・・・・・・・・・まさかな」





****

9時45分
「どうしよう・・・・・いない」
小野寺は人混みを歩きながら小さくぼやいた。
つい猫が可愛く時間を忘れて見入っていたのがまずかったのだろう。急いで戻ってみるといたはずの高野さんの姿は消えており、入れ違いを心配してまた戻ってもみたが見つからない。
広いということもあるが、さすがにオープンしたばかりだから人が多い。
「この中から見つけるなんて・・・」
極めつけが手に握る真っ黒な画面の携帯。電話をしようとしたが、もともと少なかった充電はすぐに無くなり、使えなくなってしまった。
・・・もしかして俺、迷子ってことか?
そう考えると高野さんに会いたいような会いたくないような。・・・だって、絶対バカにされる。
あーー・・・・・・!!


「小野寺・・・さん?」


「え」
声の方を振り返ると、そこには我が月刊エメラルドの看板作家。
「吉川せんっ・・・あ、吉野さん?」
ついペンネームの方で呼びそうになり、すぐに直した。
「やっぱり小野寺さんだー。違ったらどうしようかと思っちゃいました」
ぱたぱたと歩きこちらに近づいてきた吉野さんは、どこかほっとしたように話した。
・・・それにしても、この人が羽鳥さんと同じ歳なんて何度見ても信じられないよなー。木佐さんもそうだが、吉野さんも結構童顔だと思う。
じーっと顔を見る小野寺に気付き、吉野は困ったように言った。
「あの・・・俺の顔に何かついてますか?」
「あ、すいません!何でもありません!!それより、吉野さんは1人でお買い物ですか?」
「それが・・・その、羽鳥見ませんでしたか?」
「羽鳥さん・・・ですか?」
確か幼なじみと言っていたから、もしかして今日も一緒に来てるのだろうか。だがなぜか当の本人は気まずそうに目線をうろうろさせていた。
「すいません、見てないですね」
「そうですか・・・。そうだ、小野寺さんこそお1人ですか?」
「えぇえ!?あ・・・・・・俺も1つ聞きたいんですけど、高野さん見ていませんか?」
「・・・いえ」
「でっですよね!」
言えない。
この歳になって迷子とか言えるわけがない!
でも・・・吉野さんも羽鳥さんを探しているということは、もしかしたら。
ちらっと見ると目が合ってしまい、2人で変な汗をかきながら誤魔化すように苦笑を浮かべた。

「ははは・・・は・・・・・はは」

「あはは・・・・はは、一緒に・・・探しませんか?」

「そう・・・ですね」





****

10時05分
いつの間にか早足になっている自分に気付きながらも、羽鳥はあせる気持ちを抑えられなかった。普段なら吉野の行きそうな場所など手に取るようにわかるのだが、今日はそういうわけにはいかない。携帯も持っていないあいつをどうやって見つけられるだろうか。
「千秋・・・・・・っ、すいません!」
周りを見ていたせいで、前から来た人に思い切り肩をぶつけてしまった。
「いや・・。ん・・・・・羽鳥じゃねぇか」
「高野さん・・・」
聞き慣れた声に顔を向けると、同じく驚いた顔をした高野が立っていた。こんな賑やかなショッピングモールで会ったことも驚きだが、高野さんとプライベートで会うのは初めてかもしれない。
「いいとこにいた。お前小野寺見なかったか?」
「いえ。今日は小野寺と一緒だったんですか」
「まぁな。あいつトイレ行ったかと思ったら帰ってこなくてよ。ぜってー迷子になったんだって」
小野寺は一見しっかりしてるようだが、確かに少し危なっかしい所もある。
落ち着かないように頭をかく高野を見て、自分と同じ状況に苦笑してしまった。
「で、お前は?何しに来たんだ?」
「・・・実は、俺も今吉野を探してるんです」
「吉野さんを?」
「はい。一緒に来たはいいんですけど、途中ではぐれてしまって」
吉野さんらしいな、と高野は笑った。
「もしかしたらあいつら会ってる可能性もあるし、どうせだったら一緒に探さねーか?」
意外な誘いだったが、1人で探すより少しは気が紛れるだろう。
「そうですね。じゃあもう1度この階からまわってみますか」
「あぁ」
そのまま2人は人混みの中に紛れていった。



つづく

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