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世界一初恋にどっぷりハマッてる二次創作サイトです。
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千秋が風邪をひいて倒れてしまうお話。

「やってしまった・・・」
吉野の持つ体温計に写し出された数字。
38、1℃
病名=風邪
「あーー。やっとネームに一区切りがついてこれから!って時なのに・・・・俺、ダメダメすぎる」

吉野はひとまず体温計をしまい、ふらふらしながらソファに腰掛けた。冷たい生地に頬をあて、情けないため息をはく。
前回の締め切りは相変わらずのデッド入稿でトリに迷惑をかけてしまった。だから今回こそはって意気込んで、進行も順調だったはずなのにこの状態。誰だって凹むさ。
まぁ俺が昨日エアコン全快かつアイス2つ食べた挙げ句そのまま腹だして寝たのが悪いんですけどね。
とりあえず・・・
「心配かけちゃダメだよな・・・。トリには黙って自力でなお「誰に黙るって?」
「うわぁぁぁぁぁ!!!!・・・な なんだ、トリか。びっくりしたー」
ぼーっとしてたせいか、全く気付かなかった。
「こっちがびっくりだ。で、誰に黙って直すって?まさか今さらネームを変えるとか言わないよな・・・?」
ネーム?あ、直すってネームと勘違いしてるのか。
「じょ冗談だよ。ネームは直さねーって。な?」
「・・・ならいいんだが」
まだ少し納得してないような表情のままトリは俺の横に腰掛けた。
「今日はどうしたん?」
「いや、思ったより仕事が片づいたから様子を見に。原稿は順調か?」
「うん。もう書き始めてるから今回こそは大丈夫!任せとけって!!」
変に元気にしゃべらないと具合悪いのが顔にでてきそうだった。
「そうか。まぁ頑張ってくれるのはいいが、デッドだけは勘弁してくれよ。それに」

そのままトリは前回の締め切りについて話し始めたが・・・、ダメだ。全然トリの言葉が頭に入ってこない。頭くらくらする。てかこんな時に説教するなよ・・・。でも、トリには隠さなきゃ。

「トリ」
「?なんだ」
「今日は原稿に集中したいから帰って。俺1人で大丈夫だし」
これ以上一緒にいたら絶対風邪ひいてるのバレる。
「・・・・・・そう・・か。すまない」
ほら、と吉野は立ち上がり羽鳥が帰るのを促した。
渋々立ち上がった羽鳥の背中を押し玄関に立つ。
「じゃあな」
何か言いたそうな表情には気づかないフリをし、なんとか笑顔を作り手を振った。
最後までずっと吉野の顔を見てた羽鳥はゆっくり扉を閉めた。



****

頭いてぇ・・・
吉野は壁をつたいながらリビングへ歩いていった。
薬飲まなきゃ。
いつも飲んでいる錠剤を手に取り、水道の蛇口をひねる。そんなちょっとした作業にも息が上がってしまう。
言い方悪かったかな・・・。ずっとトリの顔が頭から離れなかった。帰って、って言った時、少し傷ついたような表情をしたからだ。そうだ、いつも疲れても俺の家に来てご飯作ってくれるのに、あんな言い方して・・・。
「俺、最低だ・・・」
小さく呟きながら錠剤を飲み込んだ。
寝ようと思い寝室に向かうが、足が思ったように動かなかった。
マジで具合悪いと歩くのもキツいのかよ・・・。
熱い、気持ち悪い、ふらふらする、だるい、助けて・・・・・・ってなんでこんな時トリの顔ばっか見たくなるんだ!俺のアホ!自分から帰したくせに。

「・・・・・・とりぃ」

「呼んだか?」
驚いて顔を上げると、少し息を切らしたトリの姿。
「なん・・・で?」
「お前の様子が変だったから戻ってきた。・・・迷惑だったか?」
迷惑なわけがない。そう言おうと思ったのに口が動かない。
あれ、ダメだ。意識がどっかいく。
ガタンと突然倒れた吉野は倒れてしまった。
「千秋!?おい!大丈夫か!?」
必死に吉野の名前を呼ぶ羽鳥の表情が最後の記憶だった。



****

「んー・・・、あ れ・・・?なんでベッドの上」
「俺が運んだからだ」
声の方を向くと、額に皺を寄せ怒ってますといわんばかりのオーラを放つ羽鳥が立っていた。その手には小さな鍋の乗ったお盆があり、吉野の食欲をそそった。
「えっと・・・迷惑かけたよな、ホントごめん。・・・怒ってる?」
「怒ってる」
っう、と言葉を詰まらせる吉野に近づき膝の上にお盆乗せた。食べやすいように枕の位置を変え、蓋を開ける。
「あ ありがとう」
どうしよう、何か言った方がいいのかな。
沈黙に耐えきれず、小さく「いただきます」と言いながられんげを手に取った。するとガシッと強い力で腕を掴まれる。
「・・・・・・俺が何に怒ってるかお前、わかってないだろ?」
「え 俺がまた予定ぐちゃぐちゃにしちゃったか「そうじゃなくて!!」
大きな声に吉野は体を竦めてしまった。
「・・・そうじゃなくて、なんでお前は具合が悪くなると俺に隠すんだ。この前だってそうじゃないか。俺に気を使ってくれるのはわかる。けどな、お前に目の前で倒れられるとどうにかなってしまいそうなんだよ・・・」
俯いてて顔は見えないけど、ぎゅっと握る手から気持ちが痛いぐらいに伝わってきた。
「・・・ごめん なさい、今度から絶対言うから」
「・・・」
「あ の、だから・・・・、っん」
「ん!?」
吉野は羽鳥のネクタイを引き無理やり唇を押し付けた。
「・・・・今日はずっと一緒にいろ、あほトリ」
「・・・いくらでもいてやるよ」
髪を撫でたその手にすり寄る吉野が愛おしくて、いつもより体温の高い唇にもう1度キスをした。

早くよくなれ、千秋。




fin

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