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世界一初恋にどっぷりハマッてる二次創作サイトです。
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木佐さんが担当した本を読んで雪名が泣いてるお話。

「あー・・・・・・疲れた」
今月もようやく酷い修羅場が終わり、無事・・・とは言ってもこっちはボロボロだが入稿が終わった。若いならともかく、三十路の人間を不眠不休で何日も働かせたらいい加減死ぬと文句を言いたいものだ。
「このまま永遠の眠りにつきたいよ・・・」
朝の通勤ラッシュで人が多い中、自分だけ逆方向に向かいながら電車に揺られた。
いつもより長く感じる道のりを歩きようやく我が家に辿り着く。
「つい・・・・・た」
寝たい・・・。
今すぐベッドに飛び込んで布団にくるまりたい。
力の入らない手をドアノブにかけるとなぜか鍵がかかっていなかった。
「?」
鍵をかけ忘れたかという不安もかすめたが、それよりちょっと期待してしまってる自分がいた。
ゆっくりドアを開けると部屋の奥に大きな人影。
靴を脱ぎ傍まで近づいた。
「なんだ雪名、来てたのか?・・・・・・っっは!?」


「・・っ・・・き・・・きしゃしゃん」


いつもの明るい表情とは打って変わって、目に涙を浮かべ脱力したように床に座っていた。
状況が読み込めず思わず固まってしまう。
「え・・・おまっ 何泣いてんだよ」
俺何か泣かせるようなことしたか?
でも会ったのだって久しぶりだし、この前電話した時は普通に元気だったし・・・。ぐるぐる考えても原因は浮かばない。
ひとまず荷物を置いて落ち着いて周りを見てみると、雪名は手に何かを持っているようだった。
・・・・・本?
それにどこかで見たような・・・・・・って!


「今日発売の森本カナの新刊じゃねーか!!!」


「うぅぅ~~そうなんです!朝一番で買ってきたんですけど、今回ヤバすぎですって!!なんで兄ちゃん死んじゃったんですかぁぁぁ」
・・・大きな子供だなー。
いや、そうじゃなくて!
「だからって泣き過ぎだろ!!まぁ今回は確かに泣ける話かもしんねーけど・・・」
「ホント木佐さんすご過ぎですよ!どうしてこんな話作れるんですかー!!」
「いや・・・作ったのは先生だし・・・・・・、俺は別に」
そう。
俺なんかただアドバイスしてるだけ。
所詮編集という仕事はそれぐらいしかできないが、高野さんは違う。漫画家の力を最大限まで引き出すことができる。
経験も、年齢も俺の方が上のはずなのに・・・。
「・・・・・木佐さん!」
いつの間にか雪名の顔が目の前にあった。膝立ちの状態で俺の手を掴み少し腫らした目でじっと見てきた。
「な・・・・っなんだよ」
「でも俺は、木佐さんの力が無かったらこんなに泣かなかったと思います」
「・・・そんなこと、」
「ありますよ!」
「~~!!」
雪名はいつも俺に元気をくれる。
そんな温かい言葉、ずっと前に諦めていたのに・・・。
お前は俺に言ってくれるんだな。

「木佐さん?」

誰かに認められるってこんなにうれしいんだ。

「眠い・・・」

それが自分がの大好きな人なら尚更。

「・・・・・はい、お仕事お疲れさまです」

起きたらちゃんと言おう。
その兄ちゃん生き返っ・・・・・・。
じゃなくて。
『ありがとう』って。





fin

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