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世界一初恋にどっぷりハマッてる二次創作サイトです。
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side織田

「おじゃましまー・・・す」
ギギっとガラス張りのドアを開け律は図書館の中に入った。友人の家に遊びに行った帰り、偶然見つけたのがここだ。いつもは家や学校の本ばかりで、あまり外の図書館には来たことが無かった。
「結構広い・・・」
古い木製の本棚が立ち並ぶ館内を歩き、何冊か気になる本を手に取り椅子に座った。

・・・・あ、これ先輩好きそう。

って、何考えてんだぁぁ~~~~~!
あわあわと悶えながら頭に両手をあてた。
・・・先輩とは俺の好きな人。
中間一貫校で3年間見ていただけ。もう少しで4年目だ。
我ながら男を好きになるなんてキモいことはわかっている。でも諦められなくて。せめて先輩の読んだ本が読みたいと毎日図書館に通っている。
「はぁぁ・・・」
会いたいなー・・・。


借りる本を数冊決め、読み終わったものを戻そうと館内を歩いていた。ちらっと上を見ると窓には夕日色の空が広がっている。
そろそろ帰らなくちゃ・・・。
最後の本をしまうと、まだ奥にも本棚が続いていることに気づいた。ちょっとした好奇心で足を進める。1番奥まで行くと厚い本が数多く並んでいた。辞書かと思ってしまうサイズもあるが、よく見るとすべて物語らしい。海外のものもあり、自分があまり読んだことのない部類ばかりだ。
「先輩はこういうの好きかな・・・?」
っ~~!!
だからなんですぐ先輩の事考えてんだよ!
頬を押さえると熱い・・・。
「はぁぁ・・・・・、ん?」
見上げた先で一瞬目に入ったのが、少し目立つ真っ赤な厚い本。背伸びをし中指で引っ張りながらなんとか手に取った。
「よいっ しょ。ふぅ・・・。わぁ・・・綺麗な本」
表紙の赤の上には、金色で花の絵が描かれていた。中を数行読むと外国・・・というより、ファンタジー要素の強そうな話らしい。パラパラとめくっていき、最後のページにたどり着いた。
「でもあんまり人借りてない。貸し出しカードも全然名前が書いてないし・・・・・・へ・・・・・・・・・さっ、さささささささささ嵯峨政宗!?」
うっかり本を落としそうになるところだった。
「え!なんで先輩が!?それより先輩もここに来るんだ!」
ばくばくと心臓が鳴り響く中、気がついたら涙がこぼれていた。
こんな何万冊もある本の中から先輩が読んだ本と出会えたこと。
それがあまりにも嬉しくて涙腺がおかしくなってしまったんだ。
奇跡とか運命とか、自分の都合のいいことばっか考えちゃって。
それでもずっと胸にある好きって気持ちがますます溢れ出してしまう。
好きです。好きです。好きです。
きっと一生伝えることなんて無いけど、やっぱり俺は先輩が。
「好きなんだ・・・」



それから俺は何回もこの図書館に通った。
他にも先輩が読んだ本があるかもしれないと探したが、結局最初の1冊だけだった。

その数カ月後、先輩に告白して付き合うことに。
いつか一緒に来ようと思っていたが、願いは叶わないまま終わった。

傷ついた俺はすべてを忘れたんだ。
ーー想いも 思い出も




つづく

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