side小野寺
「おい、入んねーのか?」
朝のことをまた思い出してしまいぼーっとしてしまっていた。
「言われなくても入ります。 というか中では知らない人のフリをしてくださいね!」
「お前は授業参観の男子か・・・」
2人はガラス張りの重いドアを開け中へ入っていった。 ポスターが張ってある掲示板の横を抜けると、 そこは一面の本の壁。
「わぁ・・・」
昔からこの図書館に入る瞬間が好きだった。 違う世界に紛れ込んだような不思議感覚。 わくわくが止まらずつい笑顔がこぼれてしまう。
「お前・・・すっげぇ嬉しそうだな」
「うっうるさいですよ!じゃあ、 俺は俺で勝手に読んでるんで高野さんもご自由にどうぞ」
「はいはい」
ぽん、と俺の頭を触ると辺りを見渡しながら奥へと歩いていった。
触れられた部分がじわじわと熱くなる。
「やっぱり一緒に来るんじゃなかった・・・」
今にも気持ちが溢れ出てしまう。
ーーーあの頃みたいに。
****
「ふぅ・・・」
椅子の背もたれに寄りかかり腕を伸ばした。やっぱおもしろい。 好きだった作者の昔の作品を見つけ読みいってしまっていた。
次は何を読もうかと、小野寺は立ち上がった。
木製の本棚の香りを感じながら何冊か本を手に取る。 数ページ読んでは本棚に戻すの繰り返し。
「なんかなー・・・」
すっと心に入ってくるものがない。おもしろい本に出会えた時は、 閉じるという動作を忘れてしまう程の感覚だ。 周りの音が消えその世界に入り込む。
まぁ、実際そんな本に出会えることなんてめったに無いけど。
ゆっくり本を見ながら歩いていると、 いつの間にか奥の方まで来ていたらしい。 上にある窓の光が差し込み独特な雰囲気を醸し出していた。
「そういえば、どうして俺は昔この図書館に来ていたんだろう」
わざわざ電車に乗ってまで通う理由なんて思いつかない。 というかあの頃の記憶ってほとんどなっ。
『うれしい・・・!!』
「っっ!?」
なんだ今の・・・・昔の記憶?
それに、うれしいって・・・?
頭を押さえながら記憶を探る。
やっぱり何か理由があったんだ。
通うほどの何か。
「うっ」
ぐるぐると記憶が溢れ出して頭が割れそうだ。思い出したい? 思い出したくない?忘れたい?忘れたくない?
『先輩っ!』
小野寺は頭を押さえてた手をだらっと下にさげ、床に膝をついた。
「・・・・・・・・・・・・・思い・・・出した」
つづく
朝のことをまた思い出してしまいぼーっとしてしまっていた。
「言われなくても入ります。
「お前は授業参観の男子か・・・」
2人はガラス張りの重いドアを開け中へ入っていった。
「わぁ・・・」
昔からこの図書館に入る瞬間が好きだった。
「お前・・・すっげぇ嬉しそうだな」
「うっうるさいですよ!じゃあ、
「はいはい」
ぽん、と俺の頭を触ると辺りを見渡しながら奥へと歩いていった。
触れられた部分がじわじわと熱くなる。
「やっぱり一緒に来るんじゃなかった・・・」
今にも気持ちが溢れ出てしまう。
ーーーあの頃みたいに。
****
「ふぅ・・・」
椅子の背もたれに寄りかかり腕を伸ばした。やっぱおもしろい。
次は何を読もうかと、小野寺は立ち上がった。
木製の本棚の香りを感じながら何冊か本を手に取る。
「なんかなー・・・」
すっと心に入ってくるものがない。おもしろい本に出会えた時は、
まぁ、実際そんな本に出会えることなんてめったに無いけど。
ゆっくり本を見ながら歩いていると、
「そういえば、どうして俺は昔この図書館に来ていたんだろう」
わざわざ電車に乗ってまで通う理由なんて思いつかない。
『うれしい・・・!!』
「っっ!?」
なんだ今の・・・・昔の記憶?
それに、うれしいって・・・?
頭を押さえながら記憶を探る。
やっぱり何か理由があったんだ。
通うほどの何か。
「うっ」
ぐるぐると記憶が溢れ出して頭が割れそうだ。思い出したい?
『先輩っ!』
小野寺は頭を押さえてた手をだらっと下にさげ、床に膝をついた。
「・・・・・・・・・・・・・思い・・・出した」
つづく
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