長くなってしまったのでつづきです。
運動不足な体は悲鳴をあげ、羽鳥の家の前で軽くせき込んでしまった。
「げほっげほっ・・・はぁ・・・はぁ、っ」
しかし走ったおかげで少し頭がスッキリした。吉野は深呼吸をしチャイムを鳴らす。
『・・・はい』
っあ、出た。
「トリ、俺・・・」
『よ 吉野』
ガチャと切れる音と共に中から足音が近づいてきた。
開いたドアから見えた羽鳥の顔は予想と反して怒っているようには見えなかった。
ただ、どこか辛そうな顔をしていた。
「えっと、電話・・・気付かなかった?」
「あぁ・・・ちょっとな」
「そっか。・・・・・・今日のこと、なんだけどさ。お 俺疲れてて優に運んでもらったんだけどそしたら眠っちゃって。きっと優も眠くて・・・だから」
どう言ったら信じてもらえるんだ。
「わかってる」
「・・・へ?あ なんだ、はは・・・そっか。だよな!」
あんなに心配したのがバカみたいだ。沈んだ気持ちが上がってきたのを感じた矢先、耳に入った羽鳥の言葉にまた急降下される。
「だから、帰ってくれ」
「なん・・・で」
「じゃあ」
それだけ言ってドアを閉めようとする羽鳥に慌てて飛びついた。
「ちょ!待てよ、全然わかってねーじゃん!!」
「・・・大きな声で叫ぶな、近所迷惑だ」
「これが叫ばずにいられるか、いいから家に入れろ!」
羽鳥の手を掴み自分も一緒に家へ押し込んだ。
「おい」
後ろでドアが閉まったのを確認すると急いで鍵を閉めた。
怒られようが関係ない、きっとまた前みたいに勝手に自分の中で解決してるだけだ。
意を決して羽鳥の方を向き直すと、なぜか俯き吉野が握っている手はだらっと下におろしていた。
「トリ?」
「わかってる、わかってるんだ」
あいている手で自分の前髪を掴み、へなっと床に座り込んでしまった。
「浮気とかそんなこと無い、仕事明けで疲れてしまって寝てただけ。わかってるはずなのにこんなにも嫉妬で余裕が無くなってしまう自分がイヤになる・・・、こんな弱い部分を見せるのにも」
声は震え、表情は見えないが今にも涙がこぼれてきそうだった。
「本当はお前を閉じこめて誰にも会わせないようにしたい。俺だけを見て俺だけを愛せばいい。無理だとしてもいつも望んでしまう」
「・・・」
「好きなんだ、吉野が好きで好きで・・・、こんな気持ちでお前に会ったら何をするかわからない。だから・・・」
それだけ言うと黙り込んでしまった。
吉野は目線を会わせようと自分も靴を脱ぎ膝をおった。
「・・・・・・俺さ。ずっと思ってたことがあるんだ。トリって俺と付き合ってからもずっと、どこか片思いだよな・・・って。だってそうだろ?いつもお前は俺に嫌われたくないとか、なんか対等じゃないよ」
ゆっくりと羽鳥の顔が上がっていく。
「うまく言えないけど、そんなに俺って信用できない?頼りにならない?」
「そういうわけじゃ」
「だったら!弱い部分を見せたくないとか、もっと俺を頼れよ。確かに好きになった年月はトリには全然勝てないけど、俺だって他の人と話してるのを見るだけ嫉妬するし、ずっと一緒にいられたらって思う・・・・・こ これじゃあ っぐす・・・だめなの?」
「千秋・・・、ごめん泣かせるつもりは無かったんだ」
「泣いてねー!」
服の袖でガシガシと目元を拭いた。
くそ・・・泣くつもり無かったのに。
だがこれだけ言っても羽鳥は吉野に触れようとしなかった。涙に触れようとした手が不自然に浮いている。もう、どうにでもなれ!
我慢できずその手を掴むと引き寄せて思いっきり抱き締めた。
「・・・ずっと隣にいるから」
約束の意味を込めて、その唇にキスをした。
離れると羽鳥は突然吉野を持ち上げ寝室へと入った。ベットに放り投げられるとすぐさま覆い被さり、視界に入るのは羽鳥の顔だけ。
「ごめん・・・」
「だから謝るなって」
これ以上謝ってほしくなくて、その首に腕を回した。
「たぶん明日・・・腰痛くなるけどいいか?手加減できそうにない」
「いいから、早く」
「っ」
明日腰が痛くて後悔するかもだけど、今はただこの熱を俺だけに向けて欲しかったんだ。
・・・・・・その夜
シャワーを済ませベッドに戻ると吉野はぐっすり眠ったままだった。
やり過ぎてしまった・・・。あんなことで取り乱してしまった俺を、吉野は受け入れてくれた。
ずっと隣にいる。
心配しなくていい、と。
それだけで俺の心が満たされてしまうなんて、どれだけ単純なんだか。
羽鳥はベッドに入ると細い吉野の体を抱き寄せる。
「片思い・・・か」
今こうやって抱き締めてることさえ、時々夢ではないかと思ってしまう。
それぐらい今の時間が幸せで、奇跡のようなんだ。
失うのが怖くて、いつも怯えている。
だからといってこの手を離す気はない。
こんな矛盾の中で、きっと俺はこいつを愛し続けるんだろうな。
存在を確かめるようにぎゅっと抱き締めた。
「・・・好きだ、好きだよ。愛してる。俺もずっと隣にいるから、いなくならないでくれ」
そのままゆっくり眠りに落ちていった。
「・・・・・・おれも、すきだよ」
fin
「げほっげほっ・・・はぁ・・・はぁ、っ」
しかし走ったおかげで少し頭がスッキリした。吉野は深呼吸をしチャイムを鳴らす。
『・・・はい』
っあ、出た。
「トリ、俺・・・」
『よ 吉野』
ガチャと切れる音と共に中から足音が近づいてきた。
開いたドアから見えた羽鳥の顔は予想と反して怒っているようには見えなかった。
ただ、どこか辛そうな顔をしていた。
「えっと、電話・・・気付かなかった?」
「あぁ・・・ちょっとな」
「そっか。・・・・・・今日のこと、なんだけどさ。お 俺疲れてて優に運んでもらったんだけどそしたら眠っちゃって。きっと優も眠くて・・・だから」
どう言ったら信じてもらえるんだ。
「わかってる」
「・・・へ?あ なんだ、はは・・・そっか。だよな!」
あんなに心配したのがバカみたいだ。沈んだ気持ちが上がってきたのを感じた矢先、耳に入った羽鳥の言葉にまた急降下される。
「だから、帰ってくれ」
「なん・・・で」
「じゃあ」
それだけ言ってドアを閉めようとする羽鳥に慌てて飛びついた。
「ちょ!待てよ、全然わかってねーじゃん!!」
「・・・大きな声で叫ぶな、近所迷惑だ」
「これが叫ばずにいられるか、いいから家に入れろ!」
羽鳥の手を掴み自分も一緒に家へ押し込んだ。
「おい」
後ろでドアが閉まったのを確認すると急いで鍵を閉めた。
怒られようが関係ない、きっとまた前みたいに勝手に自分の中で解決してるだけだ。
意を決して羽鳥の方を向き直すと、なぜか俯き吉野が握っている手はだらっと下におろしていた。
「トリ?」
「わかってる、わかってるんだ」
あいている手で自分の前髪を掴み、へなっと床に座り込んでしまった。
「浮気とかそんなこと無い、仕事明けで疲れてしまって寝てただけ。わかってるはずなのにこんなにも嫉妬で余裕が無くなってしまう自分がイヤになる・・・、こんな弱い部分を見せるのにも」
声は震え、表情は見えないが今にも涙がこぼれてきそうだった。
「本当はお前を閉じこめて誰にも会わせないようにしたい。俺だけを見て俺だけを愛せばいい。無理だとしてもいつも望んでしまう」
「・・・」
「好きなんだ、吉野が好きで好きで・・・、こんな気持ちでお前に会ったら何をするかわからない。だから・・・」
それだけ言うと黙り込んでしまった。
吉野は目線を会わせようと自分も靴を脱ぎ膝をおった。
「・・・・・・俺さ。ずっと思ってたことがあるんだ。トリって俺と付き合ってからもずっと、どこか片思いだよな・・・って。だってそうだろ?いつもお前は俺に嫌われたくないとか、なんか対等じゃないよ」
ゆっくりと羽鳥の顔が上がっていく。
「うまく言えないけど、そんなに俺って信用できない?頼りにならない?」
「そういうわけじゃ」
「だったら!弱い部分を見せたくないとか、もっと俺を頼れよ。確かに好きになった年月はトリには全然勝てないけど、俺だって他の人と話してるのを見るだけ嫉妬するし、ずっと一緒にいられたらって思う・・・・・こ これじゃあ っぐす・・・だめなの?」
「千秋・・・、ごめん泣かせるつもりは無かったんだ」
「泣いてねー!」
服の袖でガシガシと目元を拭いた。
くそ・・・泣くつもり無かったのに。
だがこれだけ言っても羽鳥は吉野に触れようとしなかった。涙に触れようとした手が不自然に浮いている。もう、どうにでもなれ!
我慢できずその手を掴むと引き寄せて思いっきり抱き締めた。
「・・・ずっと隣にいるから」
約束の意味を込めて、その唇にキスをした。
離れると羽鳥は突然吉野を持ち上げ寝室へと入った。ベットに放り投げられるとすぐさま覆い被さり、視界に入るのは羽鳥の顔だけ。
「ごめん・・・」
「だから謝るなって」
これ以上謝ってほしくなくて、その首に腕を回した。
「たぶん明日・・・腰痛くなるけどいいか?手加減できそうにない」
「いいから、早く」
「っ」
明日腰が痛くて後悔するかもだけど、今はただこの熱を俺だけに向けて欲しかったんだ。
・・・・・・その夜
シャワーを済ませベッドに戻ると吉野はぐっすり眠ったままだった。
やり過ぎてしまった・・・。あんなことで取り乱してしまった俺を、吉野は受け入れてくれた。
ずっと隣にいる。
心配しなくていい、と。
それだけで俺の心が満たされてしまうなんて、どれだけ単純なんだか。
羽鳥はベッドに入ると細い吉野の体を抱き寄せる。
「片思い・・・か」
今こうやって抱き締めてることさえ、時々夢ではないかと思ってしまう。
それぐらい今の時間が幸せで、奇跡のようなんだ。
失うのが怖くて、いつも怯えている。
だからといってこの手を離す気はない。
こんな矛盾の中で、きっと俺はこいつを愛し続けるんだろうな。
存在を確かめるようにぎゅっと抱き締めた。
「・・・好きだ、好きだよ。愛してる。俺もずっと隣にいるから、いなくならないでくれ」
そのままゆっくり眠りに落ちていった。
「・・・・・・おれも、すきだよ」
fin
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