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世界一初恋にどっぷりハマッてる二次創作サイトです。
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千秋が書店で雪名と話すお話。  side千秋

今日俺は1人で近くの書店に来ていた。自分の本がどのように並んでるのか、お客さんから見てどんな本が綺麗に見えるのか。漫画家としての勉強も兼ねてやって来た。

・・・・・・って言うのは言い訳で、ネームが浮かばなくてトリから逃げてきたのである。

「浮かばない時は浮かばないんだっつーの」
ふてくされたような顔をしながら少女マンガコーナーを歩く。平日の昼間だからかさすがに客は少なく、特にマンガコーナーには人がいなかった。人混みが苦手な自分には好都合である。
目的の場所に着くと、目の前には新刊の本が広がっていた。
「うわー・・・」
大部分を占める1冊の本。
 

『吉川千春 待望の新刊!!』


イラストの描かれた大きなポスターまで貼られていた。
いざこうやって自分の本が並べられてるのを見ると、いつもうれしいようなどこか気恥ずかしい気持ちになってしまう。
トリは「別に喜べばいいんじゃないか?」なんて言うけど、そう簡単な気持ちじゃないんだ。
だから、その・・・なんていうか、うれしい意味で顔が引きつる。

「ていうかこんなに置いてほんとに売れるのか・・・」
ファンの子たちと関わりを持たない分、実感わかないんだよなー・・・。
やばい、なんか本当に不安になってきた。

「どうかなさいましたか?」

「っ!?」
振り向くと、店員さんらしき若い男の人。
てか・・・めっちゃイケメンだ!!
マンガから出てきたようなそのかっこいい顔に見とれていると、心配そうに話しかけてきた。
「すいません。なんか難しそうな顔していたのでつい」
「え?あ・・・その」
言えない。
自分の本が売れるか心配でずっと見てたなんて、それじゃあ吉川千春が俺だってバレちゃうじゃないか!
「・・・吉川千春、好きなんですか?」
「えぇぇえ!?・・・・・・は はい」
いきなり名前呼ばれたからめっちゃビックリした。
てか「はい」って言っちゃったよ。
「ははは、俺も大好きなんです!この人は別格ですよね。誰でも読める少女マンガっていうか、キャラクターにも魅力があるし」
「は・・・はぁ」
「売れ行きだってすごいんですよ」
「・・・」
ファンレターで感想とか聞いたことあったけど、こんな面と向かって読者に褒められたのは・・・初めてだ。
「?あ、すいません!俺勝手にしゃべっちゃって」
俺が黙ったままだから勘違いしたのだろう。突然恥ずかしそうな顔をして謝ってきた。
「いえいえいえ、すごいうれしかったです!」
「っえ、うれしい?」
何うれしいって言ってるんだよ・・・!
「あ・・・えっと、俺男だし・・・その」
「あー、確かに男で少女マンガは少し躊躇っちゃいますよね。俺も最初そうでしたし。でもぜひ本買ってあげてください!そうだ、ちょっと」
手招きをされると、奥の本棚に案内された。そこは丸川の本が多いのか、よく見る作家の名前が並んでいた。
「これです」
店員が手に取ったのは1冊のノート。表紙には『吉川先生への愛を書いちゃってください!!』と書いてあった。
「これ、勝手にうちの書店でやってる企画なんです。好きなキャラクターの絵を描いたり、感想書いたり。特に吉川先生だとすぐノート無くなっちゃうんです。ほら」

 

吉川先生大好きです!

いつも読み切り描いてくれてありがとうごさいます!本誌を読んでても単行本買うのがすごい楽しみなんです

早くこんな恋がしたいなー

新刊買っちゃった!

 

「こんなに・・・」
本人に読まれるわけでもないのに、こんなにたくさんの言葉を書いてくれたんだ。

いつもマンガを描いていても、これでいいのか?
読者は喜んでくれるのか?

孤独の中悩んでばかりいる

でも、こうやってみんな誰かに支えられているんだ

俺の作る話でみんなに何かができるなら

俺は描き続けたい

 


「これ、俺も描いていいんですか?」
「もちろんです!」
紐でかけられてたボールペンを持ち、ノートの開いた。
「・・・トリに怒られるかなー」
まぁ、バレなきゃ大丈夫か。
何を描こうかとペンをくるくるさせてと、本棚の影から他の店員が話しかけてきた。
「雪名!レジ頼んでいいか?」
「っあ、はい!すいません、じゃあ俺行きますね」
「あ ありがとうございました」
頭を下げると、雪名と呼ばれたイケメンの店員さんはニコッと笑いレジへ走っていってしまった。

かっこよかったなー。
きっとかわいい恋人がいるんだろうなー。
妄想モードに入る前に、ノートへ顔を向き直し1度周りを確認した。

「喜んでもらえますように」
そんな願いを込めて、吉野はペンを走らせた。


その顔は、1千万部作家 吉川千春大先生だった。

 

 

つづく

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