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世界一初恋にどっぷりハマッてる二次創作サイトです。
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ひょんなことからお祭りにいく2人のお話。

「あっつーー・・・」
「・・・高野さん、さっきからそれしか言ってませんよ?」

とある日の仕事帰り。
さっさと1人で帰ろうとした小野寺だったが、いつものように高野に捕まり、一緒に帰る羽目になってしまった。

別に誰かと帰るのは嫌というわけではないんだけど、高野さんと帰るとどうも会話が続かないのが困る。俺だって話の種を探そうと努力はしてるつもりだ。
でも、なんか・・・こう・・・、緊張してしまう・・・。


「お前は暑くないわけ?」
「そりゃあ暑いですけど、夜のこの気温なんて涼しい方じゃないですか」
「十分暑いは」
まぁ、バテてる高野さんは大人しいからこっちとしてはうれしいけど。
でもあまりにだるそうにしてるから、つい心配になってしまった。
「・・・大丈夫ですか?コンビニで何か冷たいものでも買います?」
「・・・・・・」
小野寺が声をかけると、俯いてた高野がパッと顔を上げた。

どうせまた、心配するなんて珍しい、なんて言うんでしょ。

「俺だって人の心配ぐらいでき「思い出した」



はい?



「えっとー・・・、何を?」
「行くぞ小野寺」
そう言うと突然俺の腕を掴み、帰る方向とは違う道を歩き始めた。
「ちょ どこに連れてく気ですか!?」
「着いてからのお楽しみ。大丈夫近くだから」

そういう問題じゃない!!

「はーーなーーせぇぇぇぇぇぇーーーー!!」






****


「えー・・・ここは、神社?ですか」
「夏祭りだな」
「て、もうほとんど出店終わってるじゃないですか!?」
高野が連れてきたのは、近くの神社のお祭り。小さくはあるが、たくさんの屋台が並び近所では有名なお祭りだ。


もう終わってるが・・・。


「ちぇ。さすがに遅すぎたか・・・。どこか店やってねーか?」
「はぁぁ・・・。いいから帰りましょうよ」
「もう少し」
そうは言うが、どこのお店も片付けを始めている。
・・・でも夏祭りなんて久しぶりだ。学生の頃友達と初めて行ってすごい感動したっけ。

「小野寺こっち来い!」
思い出に浸ってるうちに高野は見てまわってたのだろう。少し先で手招きしてきた。
「どうしましたか?」
「かき氷ならまだ売ってくれるってよ」
半分は片付けを始めているようだが、どうやら高野さんが頼んだらしい。
「まったく、子供ですか」
「うっせーな。夏は夏らしい冷たいものが食べたいんだよ。それより味何にする?」
指をさした先には色とりどりのシロップ。
いちご、メロン、レモン、ぶどう、抹茶、ブルーハワイ・・・




ん?




ブルー・・・ハワイ

ブルーハワイって何だ?




「へー、抹茶なんてあるのか。じゃあそれで。小野寺決めたか?」

ダメだ気になる。
ていうか、食べる物に青い着色料をつけるのはどうなんだろうか。
青ってなんかおいしいイメージが付きにくい気がするし。
んー・・・・・・


「・・・もしかしてお前、ブルーハワイ知らないの?」
「えぇぇえ!?」
いつの間にかずっと睨んでしまっていたらしい。

・・・どうしよう。
夏祭り自体あまり来たことがないのに、ブルーハワイを知らないと言ったら笑われるだろうか。
いや、どちらにしろこの人なら絶対 笑う。

「何言ってるんですか、知ってるに決まってるでしょ」
「へぇー・・・、じゃあどんな味だ?」
「ど どんなって・・・」

ブルーハワイ・・・、やっぱり甘いのか?
いやいや、こうやって高野さんが聞いてくるんだ。きっと予想外の味なんだ。
えっと・・・ハワイ、でブルー。青・・・・・・・・・海?

「ほら、わかるんだろ?」
「うっ・・・・・・、しょ・・・」
「しょ?」



「・・・しょっぱい?・・・・・・とか」



「・・・」
違うのか!?
やっぱ素直に答えた方が。

「あの、高野さん?」
「・・・っぷ、ははははははははは、ひーーっ腹痛い!ブルーハワイがしょっ しょっぱいて、はははは!!」
「ちょ、違うなら早く言ってくださいよ!てか笑いすぎです!!」
よく見たら屋台のおじさんまで笑っていた。
・・・正直にわからないと言えばよかった。
「はははは、はぁー・・・。久しぶりにマジで笑った。・・・・・・っぷ、くっくく」
「いい加減にしてください」
「はいはい。じゃあもう1人つはブルーハワイ味でお願いします」
「はいよー」

自分で買おうと思っていたが、こんなに笑われたんだ。奢らせてやる!
高野はお金を渡すと、抹茶とブルーハワイのかき氷を受け取った。
「ほら、食いながら帰るぞ」
「・・・ありがとうございます」






****


「ん、おいしいです」
「甘いだろ」
「わっ わかってますよ!」
どんな味がするかドキドキしながら食べてみたが、言ってしまえばただの砂糖水だった。色のせいか独特な味がするが、それがまた甘さを際立てていておいしかった。

「お前、祭りと行ったことないんだ?」
「いえ、学生のの頃友人たちと1、2回ぐらいは」
その時は全部が初めてで、目移りしぱなっしだったのを覚えている。我ながら子供みたいだったな・・・。
「まぁ俺も人のこと言えないけどな。人混み嫌いだし」
しゃこしゃことかき氷にスプーンを刺しながら感情無く言った。
高野さんは気付いてないだろうが、昔の話をするときはいつも暗い顔になる。
頭1つ分ぐらい高いその横顔は、どこか嵯峨先輩を思い出してしまう、そんな表情だった。

「高野さん、口開けてください」
「?なんだよ」
怪訝そうな高野には目もくれず、小野寺はスプーンで取ったかき氷を思いっきり高野の口に突っ込んだ。
「ぶっ!?お おい、食べさせてくれるならもう少しかわいくできねぇのか・・・?」
「高野さん。来年はもっと他のも食べたいです」
「え?」
小野寺は顔を赤くしながら、今度は高野の抹茶味をスプーンで取り自分の口に入れた。
「だから、行くの付き合ってあげる代わりに奢ってください、って言ってるんです」
その言葉に、自然と高野の足は止まってしまった。
「・・・それはデートの誘いってことでいいんだよな」
「ち・が・い・ま・す」
これ以上赤い顔が見られないよう、振り向きもせず前を歩くとぎゅっと手を握られた。
「・・・何ですか。食べれないんですけど」
「いーの」
どこか嬉しそうに歩く高野の横顔を見ながら、小野寺は小さく微笑んだ。
きっと、1年後もこうやってケンカしながら一緒に歩いてるんだろうな。
そんな風に未来を想像できる自分に少し驚きながらも、自分より冷たい手の感触を感じた。




1度離してしまったこの手


でも今また掴めたんだ


冷たかったこの手を温めるために、ずっとずっと側にいよう


離さないように


離れないように





fin

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